2018 Fiscal Year Research-status Report
分子マーカーを用いた軟部肉腫の新規リスク分類の創出
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18K16660
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小松 正人 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (50531753)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 肉腫 / がん精巣抗原 |
Outline of Annual Research Achievements |
軟部肉腫に対する新規な予後規定因子の可能性があるがん精巣抗原の一つ・DEPDC1Aに関して、パラフィン包埋切片を用いた免疫組織染色を施行した。対象症例として、平滑筋肉腫が40例、未分化多形肉腫/悪性線維性組織球腫/粘液繊維肉腫症例が約60例を抽出した。多くの症例で腫瘍細胞の核にDEPDC1A陽性所見が得られ、明確な陽性・弱陽性を線引することが非常に困難であったが、DEPDC1Aが非常に強く発現する症例では、細胞の多形性・核分裂像が多い傾向にあった。 予後に関しては、統計的な有意差を持ってDEPDC1A高発現症例が予後不良であることは免疫染色では規定することは困難で、mRNAを用いた(精巣をコントロールとして)PCRによる発現レベルの数値化がやはり必要と考えられる。もうひとつの予後規定因子の可能性があるがん精巣抗原の一つ・TRIP13に関しても免疫染色が可能な抗体を導入し、免疫組織染色を施行しているが、ポジティブコントロール(精巣)での発現確認がまだ得られておらず、複数の抗体を用いて現在条件検討中である。 現時点まで、DEPDC1Aは未分化多形肉腫/悪性線維性組織球腫/粘液線維肉腫症例あるいは平滑筋肉腫で一定以上の症例で、精巣(精母細胞)と同程度・あるいはそれ以上の発現があることがわかり、DEPDC1Aの機能(特にNFκB経路の調節)が肉腫の増殖・進展に何らかの関連があることが示唆された。 また、直接関連することではないが、本研究を行っている過程において非常に稀な組織型や、新規な組織亜型である可能性がある軟部腫瘍を抽出することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究対象としている分子の免疫組織染色の条件検討が比較的難しく、これらに時間を要してしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
可能な限り免疫染色を早期に実施し、がん精巣抗原の発現が肉腫の組織像・患者臨床情報とどのような関連があるかを見定める。着目している分子の免疫染色が困難とわかれば、mRNAを用いたPCRでの発現比較解析による研究に切り替える必要もあると考える。また、肉腫細胞株におけるがん精巣抗原の機能解析をすすめる。
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Causes of Carryover |
培養細胞に関連した研究がまだ未施行であり、これらに関連する試薬・消耗品などを次年度に計上することにしている。
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Research Products
(3 results)