2018 Fiscal Year Research-status Report
性ステロイドホルモンに着目した組織線維化機序の解明
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18K16677
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
山中 芳亮 産業医科大学, 医学部, 助教 (60644862)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 線維化 / コラーゲン / エストラジオール / TGF-β / 線維芽細胞 / 特発性手根管症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
組織の線維化は臓器不全に共通の病態である。したがって、線維化の機序を解明することは、臓器不全の進展予防や治療法の開発に重要である。本研究では、手関節部の手根管内滑膜の線維化が主な病態である特発性手根管症候群の発症機序について、エストロゲン/エストロゲンレセプターおよびTGF-βシグナルに着目して明らかにすることで、有効な治療法開発の糸口となる基盤的知見の確立を目指している。本年度は、閉経後特発性手根管症候群患者10名の手根管内滑膜から線維芽細胞を採取後、エストラジオール添加群(10-4, 10-6, 10-8, 10-10, 10-12 M)とコントロール群における線維化関連遺伝子の発現の相違を検討した。1型コラーゲンの発現はエストラジオール添加群(10-6、10-8、10-10 M)でコントロールと比較して有意に低下していた。また、3型コラーゲンの発現も同様にエストラジオール添加群(10-4、10-12 M)でコントロールと比較して有意に低下していた。TGF-βの発現は、コントロール群と比較して10-4 M添加群で有意に亢進しており、10-12 M添加群で有意に低下していた。一方、コントロール群におけるERα発現量と1型および3型コラーゲン発現量の間には、ともに相関は認めなかった。本年度の結果より、手根管内滑膜線維芽細胞においてエストラジオールは1型および3型コラーゲンの発現抑制に寄与していること、ERα発現量と1型および3型コラーゲン発現量の間には相関がないことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度においては、手根管内滑膜線維芽細胞においてエストラジオールがTGF-βシグナルに関連する線維化関連遺伝子の発現量に与える影響をqRT-PCRを用いて定量的に評価する計画であったが、予定通りに実験が行われた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の結果からERα発現量と1型および3型コラーゲン発現量の間には相関がないことが明らかとなったが、平成31年度は、ERαの発現量とエストラジオール添加による1型および3型コラーゲンの発現量の関連を明らかにする。また、エストラジオール添加によるタンパクレベルでの1型および3型コラーゲンの発現も検討する。
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Research Products
(8 results)