2018 Fiscal Year Research-status Report
骨肉腫における血中循環腫瘍細胞と上皮間葉間移行の機能解析および肺転移抑制について
Project/Area Number |
18K16679
|
Research Institution | Osaka International Cancer Institute |
Principal Investigator |
田中 太晶 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, 整形外科医長 (00796245)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | lung metastasis / circulating tumor cell / EMT |
Outline of Annual Research Achievements |
骨肉腫の罹患率は100万人あたり4人と非常に稀であり、若年齢層に好発し、その年代における最も頻度の高い骨腫瘍である。現在まで手術、化学療法、放射線治療を含めた集学的治療により生存率は改善したものの、その予後は劇的な改善には至っておらず、肺転移により最も大きく左右される。また初診時から肺転移がある場合や、集学的治療を行った後でも40-50%の患者に肺転移が生じ、これらの患者は予後不良である。このため、骨肉腫治療においては原発巣のコントロールだけでなく、 転移抑制を目的とした治療法が渇望されている。近年、転移形成において血中循環腫瘍細胞(CTC)の存在が重要な役割を果たすとの報 告が多くされており、骨肉腫の肺転移における血中循環腫瘍細胞の解析を行うことで治療標的分子の検索、同定を目的とする。申請者はマウス骨肉腫高肺転移株LM8を用いて、生きている状態のCTCを浮遊培養することに成功しており、間葉系腫瘍における EMPを制御するメカニズムを解明するには非常によいモデルである。原発巣、CTC、肺転移巣におけるEMPを評価、解析し、それぞれの細胞の性状と内部状態、環境応答性を明らかにすることで骨肉腫肺転移における分子メカニズムを理解し、CTCの制御を 目的とした分子標的治療の開発や転移抑制に特化した新規治療法を目指した。マウス骨肉腫細胞、高肺転移株であるLM8を用いて実験を行った。In vitroではLM8を通常の接着状態と浮遊状態とで培養を行い、その増殖能力の差異を評価した。またin vivoではLM8同種移植モデルで、遠隔転移を認めたマウスの血液からCTCを浮遊培養下で培養し、また皮下原発巣と肺転移巣からも浮遊培養を行い、EMPに関わる遺伝子発現を評価した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウス骨肉腫細胞、高肺転移株であるLM8とルシフェラーゼを恒常的に発現するLM8-Lucを用いて実験を行った。LM8-Lucはマウスが生きている状態でIVISを用いると肺転移を定量的に評価でき、血中循環腫瘍細胞の出現と肺転移形成の関係を評価する上で非常に有用な細胞である。まずin vitroでLM8とLM8-Lucの増殖能、肺転移能の差異を評価した。増殖能についてはLM8とLM8-Lucで2次元、3次元培養を行うと増殖能に差を認めなかった。In vivoではLM8、LM8-LucをそれぞれC3Hマウス背部皮下に移植し、移植後5週に肺転移の形成を評価した。LM8はほぼ全例肺転移を認めたが、LM8-Lucは50-70%のマウスで肺転移を認めた。同時に心臓より採血を行い、CTCの2次元培養を行うと、LM8ではほぼ全例培養に成功したが、LM8-Lucは肺転移を認めたマウスでも培養の成功率は50%未満であった。今後の研究はLM8-Lucを用いてを行うほうが、マウスをサクリファイスすることなく、肺転移を観察することができる点が有用であるが、皮下移植モデルにおいて肺転移を形成する割合が低いこと、また血液よりCTCのの培養に成功する割合が低いことから研究計画よりやや遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
1)EMPに関与する因子の検索 マウス骨肉腫細胞株(LM8)の同種移植モデルで、遠隔転移を認めたマウスの血液からCTCを浮遊培養下で培養し、また皮下原発 巣と肺転移巣からも浮遊培養を行い、EMPに関わる遺伝子発現をマイクロアレーによって比較し、EMPに関与する遺伝子の発現を 評価し、因子を同定する。2)マウスモデルで得られたEMPに関与する因子をノックダウンし、1 in vitroで遊培養下における増殖能抑制効果を評価、2 in vivoでマウス皮下注モデルにおける肺転移抑制効果を評価する。
|
Causes of Carryover |
計画では、30年度中にマイクロアレーを用いた遺伝子発現実験を始めることにしており、その経費を計上していたが、計画の遅れにより、当該実験の実施が次年度(2019年度)にずれ込んだため、実験に必要な経費が次年度使用となった。 当該実験に必要な試薬等の購入を年度初めより行うので、適切に使用できると考える。
|
Research Products
(6 results)