2018 Fiscal Year Research-status Report
血清亜鉛濃度を用いた、急性期脊髄損傷患者の神経学的予後予測
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18K16680
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Research Institution | Japan Organization of Occupational Health and Safety, Spinal Injuries Center |
Principal Investigator |
久保田 健介 独立行政法人労働者健康安全機構総合せき損センター(研究部), 独立行政法人労働者健康安全機構総合せき損センター(研究部), 研究員(移行) (00717069)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 脊髄損傷 / 予後予測 / 血清亜鉛濃度 |
Outline of Annual Research Achievements |
総合せき損センターに損傷後3日以内に入院した38人の脊髄損傷患者の血清亜鉛濃度と運動機能予後との関係を調べた。受傷から採血までの平均期間は1.2±0.2日、平均フォローアップ期間は6.3±0.8か月であった。最終フォローアップ時のAIS gradeに基づいて患者を5つのグループに分け、各グループの入院時血清亜鉛濃度を比較した。その結果、運動機能予後が悪い群は、入院時の血清亜鉛濃度が有意に低いことを明らかになった。また、入院時の血清亜鉛濃度と最終フォローアップ時のASIA motorスコアとの関係を調べたところ、入院時の血清亜鉛濃度と最終フォローアップ時のASIA motorスコアとの間には正の相関があることがわかった(r=0.858)。さらに、入院時の血清亜鉛濃度で脊髄損傷後の運動機能予後を予測できるかを調べるために、入院時の血清亜鉛濃度と最終フォローアップ時のASIA motorスコアとの間の非線形回帰分析を行った。非線形回帰式により算出されたR2は0.838 であった(予測式:最終フォローアップ時のASIA motorスコア=98.064 / {1 + EXP [-0.236([Zn] -67.489)]})。これは、これまでに報告された、他の急性期バイオマーカーよりも著しく予測精度が高かった。次に、脊髄損傷患者が最終的に歩行できるかについて予測可能かを調べるために、入院時の血清亜鉛濃度に基づくロジスティック回帰モデルをコホートに適用したところ、入院時の血清亜鉛濃度は、脊髄損傷患者が最終的に歩行可能かを予測するのに非常に有用であった (AUC=0.974, 95% confidence interval 0.823-0.997, p<0.0001)。 これらの結果は、急性血清亜鉛濃度が脊髄損傷患者の運動機能予後を予測するための有用なバイオマーカーであることを証明している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の成果が、科学雑誌EBioMedicineに掲載されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も症例数を増やして、血清亜鉛濃度による神経学的予後予測の精度検証を行う方針である。
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Causes of Carryover |
購入物品の価格が、為替の影響で予定額より低くなったため。
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Research Products
(1 results)