2018 Fiscal Year Research-status Report
Novel therapy targeting androgen receptor splice variants by inhibiting heat shock factor 1 (HSF1) for the treatment of castration-resistant prostate cancer
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18K16686
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
木島 敏樹 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (90569500)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 去勢抵抗性前立腺癌 / 熱ショックタンパク質 / 熱ショック因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
前立腺癌の去勢抵抗性獲得機序の一つとして、C末端のアンドロゲン結合部位を持たずに恒常的活性状態となる、アンドロゲン受容体スプライスバリアント(AR-Vs)が注目されている。熱ショック蛋白質90(Heat shock protein90: HSP90)はアンドロゲン受容体(AR-FL)の成熟・安定化に重要であり、HSP90阻害剤はAR-FLを低下させ、前立腺癌に対する抗腫瘍効果を示す。しかしながら、HSP90はAR-FLのC末端に結合するため、AR-Vsの安定化には関与せず、AR-Vsの成熟・安定化には他のHSPが重要であると考えられている。熱ショック因子(Heat shock factor1: HSF1)は全てのHSPの発現を調節する転写因子であり、その阻害はAR-FLのみならずAR-Vsの発現低下をもたらす可能性がある。 アンドロゲン非依存性細胞株22rv1(AR-FL発現、AR-Vs発現)を用い、siRNAによるHSF1ノックダウンのAR-FLおよびAR-Vs発現への影響をWestern blot法にて評価した。HSF1抑制効果の報告されている低分子化合物群の中から有効なHSF1阻害剤を検出した。HSF1阻害剤、HSP90阻害剤(STA-9090)、両者併用によるAR-FLおよびAF-Vs抑制効果をWestern blot法にて、抗腫瘍効果をMTS assayにて評価した。 HSF1ノックダウンによりAR-FLおよびAF-Vs発現は抑制された。抑制効果の高いHSF1阻害剤として、Triptolideが検出された。Triptolideは濃度依存性にAR-FLおよびAR-Vs発現を抑制し、STA-9090との併用は相加的にAR-FL発現を抑制した。Triptolideは22rv1に対して濃度依存的な抗腫瘍効果を示し、STA-9090と相加的に作用した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、In vitroでのHSF1ノックダウンおよびHSF1阻害剤によるHSP抑制効果、AR-Vs抑制効果を示した。今後、作用機序をより確かに証明するために、AR非発現株を用いたAR-FLおよびAR-Vsの強制発現実験を予定している。 有効性の高いHSF1阻害剤の候補としてTriptolideを見いだした。In vitroにおいて、Triptolide単剤およびHSP90阻害剤との併用での高い抗腫瘍効果を確認した。次年度の追加実験として、相乗効果は発揮するための至適な投与濃度や投与タイミングを検討した上で、マウスモデルによるIn vivoでの実験を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
数多くのHSPの中から、ARvの成熟・安定化に必要なHSPの特定を目指す。HSP70およびHSP40に対するshRNAによるknock downを行い、ARおよびARv発現への影響を評価する。いずれかのHSPがARv安定化に重要であると判明した場合、そのHSPに対する阻害薬のARv抑制効果やCRPC細胞株への抗腫瘍効果を合わせて検討する。 HSP70, HSP40以外のHSPがARv安定化に重要であることが判明した場合は、特異的阻害薬の開発は困難となるが、shRNAによるknock downにて、ARv安定化のkeyとなるHSPの特定を目指す。
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Causes of Carryover |
前立腺癌細胞に対して有効性の高いHSF1阻害薬のスクリーニングが、当初の想定よりもスムーズに進行したため、薬剤購入費用が見込みよりも低くなった。 次年度の助成金と合わせ、動物実験費用、またAR-Vs安定化に重要なHSP特定の実験に用いる予定とする。
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Research Products
(2 results)