2019 Fiscal Year Research-status Report
微小乳頭型膀胱癌を用いたMUC1がPD-L1へ及ぼす影響
Project/Area Number |
18K16688
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
品川 友親 福井大学, 学術研究院医学系部門, 特別研究員 (00610453)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 微小乳頭型膀胱癌 / 腎癌 / 糖鎖発現 / 癌免疫療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
微小乳頭型膀胱癌は尿路上皮癌のバリアントであり、高い浸潤、転移能のため生命予後が著しく不良である。その背景にmucin-1(MUC1)の関与が示唆されている。この数年で他の癌腫では免疫チェックポイント阻害薬の使用が可能になり、膀胱癌に対しても抗PD-1モノクローナル抗体であるペンブロリズマブが使用可能になった。本研究では膀胱癌進行との関連が示唆されるMUC1の発現、新規治療対象として注目されるPD1関連遺伝子の間にどのような関連性があるのかを検討している。 ただ、新規の症例数が少なく、微小乳頭型膀胱癌のみでは解析に長期間を要する見通しである。そのため、2019年度は腎癌標本を用いた検討も並行して行った。腎癌ではPD-1阻害薬であるニボルマブとCTLA-4阻害薬であるイピリムマブの使用が可能で、以前のサイトカイン療法や分子標的治療に比べて予後の延長に寄与している。また単に予後が延長するだけではなく、転移巣も含めて完全奏功する例が認められるようになっている。 ニボルマブやイピリムマブは腫瘍細胞に対する細胞障害性T細胞の活性化が効果の主体であるが、T細胞をはじめとしたリンパ球が血管内から腫瘍周囲のいわゆる癌微小環境に浸潤するためには血管内皮への接着が重要である。2019年度には腎癌の手術標本を用いて癌免疫療法施行前の時点でのPD-L1の発現強度を評価した。PD-L1の発現はホルマリン固定パラフィン包埋切片での免疫染色で判定した。その結果ニボルマブの効果が良好であった症例では、治療前のPD-L1の発現強度が強いことが判明した。今後症例を増やして検討する方向である。また、本研究の微小乳頭型膀胱癌のみならず、他の泌尿器癌での検討も行いたいところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
微小乳頭型のバリアントを有する膀胱癌患者自体が少なく、十分な検討に値する症例数に達していない。2019年度は膀胱癌以外にも対象を広げて検討したが、結果が有意であるかどうかを判断できる症例数には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
膀胱癌での検討は引き続き行うが、平行して腎癌での検討や、可能であれば前立腺癌など他の癌種でも検討を行う。腎癌では少しずつ症例登録を増やしているが、前記に述べた通りまだ十分な症例数ではなく引き続き登録と検討を追加する。
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Causes of Carryover |
微小乳頭型膀胱癌の新規症例数が少なく、新規に免疫染色や遺伝子発現解析を行う絶対数が少なかった。腎癌での検討を追加したが、まだ多い例ではないので次年度使用額が生じた。次年度において新規検討(免疫染色やタンパク発現検討、in vitroでの各種実験)に備える予定である。
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