2019 Fiscal Year Research-status Report
好中球に着目した、腎細胞癌特異的エクソソームによる癌微小環境制御メカニズムの解明
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18K16694
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中田 渡 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教員 (30648019)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | エクソソーム / 免疫細胞 / 腎細胞癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
腎細胞癌由来のエクソソームが好中球を癌関連好中球(TAN)に誘導しているという仮説に基づき、腎細胞癌組織、正常腎組織のそれぞれの培養液から回収したエクソソームをナイーブな好中球に作用させ、その遺伝子発現を比較したが、ARGやMMP9、VEGFAといったTAN関連マーカーの発現に有意な変化は認めなかった。そのため好中球以外の免疫細胞としてT細胞に着目し、腎細胞癌由来エクソソームによるT細胞の制御機構の解明に方針を転換した。 腎細胞癌由来エクソソームのT細胞に対する作用を確認する目的で、腎癌細胞株(786-O)の培養上清から回収したエクソソームを、PKH26で蛍光標識し、末梢血単核細胞に添加し蛍光顕微鏡で観察したところ、CD4陽性T細胞、CD8陽性T細胞ともにエクソソームが取り込まれていることが明らかになった。続いて腎癌細胞株(786-O, Caki-1, Caki-2, ACHN)の培養上清から回収したエクソソームを、末梢血単核細胞から抽出したCD4陽性T細胞、CD8陽性T細胞に添加し、その増殖能を評価したところ、Caki-2由来のエクソソームを添加した培養液中のCD4陽性T細胞の増殖が有意に抑制されることを確認した。 腎細胞癌由来のエクソソームに内包されるタンパクによってT細胞の増殖抑制を来たしていると考え、腎細胞癌患者から切除した腎細胞癌組織および正常腎組織の培養上清から回収したエクソソームのLC/MSによるプロテオミクスを施行した。正常腎組織由来エクソソームと比較して腎細胞癌由来エクソソームで有意に高発現する106個のタンパクを同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
腎癌由来エクソソームによって好中球がTANへと誘導されることが直接証明できなかったため、腎癌由来エクソソームによるT細胞に対する作用機序の解明へと方針を転換したためである。
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Strategy for Future Research Activity |
プロテオミクスで同定した106個のタンパクの中でT細胞の増殖抑制に関与するタンパクを同定する。
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Causes of Carryover |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため、当初の見込み額と執行金額が異なった。
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