2020 Fiscal Year Annual Research Report
Hydrogen production by oral ingestion of silicon particles and its protective effect against renal ischemia-reperfusion injury in rats
Project/Area Number |
18K16697
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川村 正隆 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (00808925)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 虚血再灌流傷害 / 水素 / シリコン |
Outline of Annual Research Achievements |
〔目 的(Purpose)〕 虚血再灌流傷害は腎移植手術において不可避な傷害であり、活性酸素種を誘導し長期生着率の低下と関連する。水素投与の有効性がこれまでに報告されているが、水素水の経口摂取は効率が悪く、水素ガスの吸入は取り扱いが難しいことから広く臨床応用されるには至っていない。我々はシリコンをナノレベルまで粉砕し水と反応させることにより、多量の水素を発生させることに成功した。本研究の目的は新規の水素投与方法であるシリコン成分剤の経口投与により、腎虚血再灌流傷害が抑制され得るかを明らかにすることである。 〔方法ならびに成績(Methods/Results)〕 6週齢の雄性SDラットに微細あるいは粗大粒子のシリコンを含有した飼料を投与し、1週間後に左腎動脈を60分間遮断して再灌流し、同時に右腎摘除を施行した。本グループをそれぞれIRI+small Si、IRI+large Si群とし、通常飼料を投与して同様の手術を施行するIRI群と右腎摘除のみを施行するsham群を作成し、手術72時間後に犠牲死の上比較検討を行った。IRI+nano Si群において、血清クレアチニン値と一時尿より算出した尿蛋白値の有意な低下を認めた。酸化ストレスマーカーである尿8-OHdGはIRI+nano Si群で有意に低下していた。腎マイクロアレイによるトランスクリプトーム解析ではIRI+nano Si群において免疫応答、外因性アポトーシスシグナルに関する遺伝子群の発現低下を認めた。さらに免疫組織化学的評価において間質へのマクロファージの浸潤と尿細管上皮細胞のアポトーシスの軽減が得られ、抗炎症、抗アポトーシス効果が示唆された。 〔総 括(Conclusion)〕 新規の水素投与方法であるシリコン成分剤の経口投与により、ラット腎虚血再灌流傷害の抑制が得られた。
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