2018 Fiscal Year Research-status Report
小児期における抗がん剤投与が将来の男性性機能に及ぼす影響の分子薬理学的探求
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18K16703
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
片岡 智哉 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (20737928)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 抗がん剤 / 男性性機能障害 / 小児 / AYA |
Outline of Annual Research Achievements |
第3期がん対策推進基本計画案では小児がんと思春期・若年成人(AYA)世代でのがんに対する晩期合併症の対策が重要視されている。申請者らは世界に先駆けて、抗がん剤による男性性機能への影響を解明する研究プロジェクトを開始し、大規模副作用データベース解析により小児がんに用いられる抗がん剤が勃起障害(ED)を引き起こす危険性を見出した。そこで本研究では、小児がんなどに汎用される抗がん剤が男性性機能へ及ぼす影響、その発症メカニズム、および予防法の構築を申請者らがこれまで研究を進めてきた男性ホルモンに着目して解明することを目的とした。 検討にあたり、①小児期における抗がん剤投与によるラットの勃起機能の継時的変化の検討、②小児期における抗がん剤治療に起因する勃起機能低下の回復時期の検討、③抗がん剤治療後も将来の性機能を維持する予防法の検討の3点を明らかにする計画を立てた。 大規模副作用データベース解析により検出されたDoxorubicin、Melphalan、Methotrexate、VincristineおよびDocetaxelの5種類の抗がん剤を4週齢の雄性Wistar/STラットに投与し、4週後の影響を検討したところ、Doxorubicin、VincristineおよびDocetaxelを投与したラットで勃起機能の有意な低下が観察された。引き続き、摘出組織を用いて分子生物学的手法により、障害発症メカニズムを明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ラットに投与し機能評価を積極的に実施しているが、飼育施設の容量に限りがあり、他の研究との兼ね合いから実験に制限が生じてしまっている。今後もできうる限りの検討を行いたい。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、①小児期における抗がん剤投与によるラットの勃起機能の継時的変化の検討、②小児期における抗がん剤治療に起因する勃起機能低下の回復時期の検討を進めており、ラットから摘出したサンプルを用いて障害発症機序の解明をする予定である。 また、マイクロアレイ法などの網羅的遺伝子解析を行い、研究が速やかに進行するよう努めたい。
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Causes of Carryover |
研究計画がやや遅れており、必要な試薬の購入が遅延しているため使用額に差額が生じた。今後は研究をさらに進めていき、計画的に費用を捻出する。
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