2019 Fiscal Year Annual Research Report
Influence of Anticancer Agents on Erectile Function of Rats
Project/Area Number |
18K16703
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
片岡 智哉 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (20737928)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 抗がん剤 / 男性性機能 / 小児 |
Outline of Annual Research Achievements |
小児期における抗がん剤治療が将来の性機能に及ぼす影響を明らかにするため、大規模副作用データベース解析により勃起障害発症シグナルが検出された抗がん剤が小児期のラットの勃起機能に及ぼす影響を検討した。 米国FDA の大規模データベースを用い、上市されている殺細胞性抗がん剤38種類のうち、Docetaxel(DTX)、Doxorubicin(DOX)、Melphalan(L-PAM)、Methotrexate(MTX)、Vincristine(VCR)の5種類の抗がん剤で勃起障害(ED)を惹起させる有害事象発症シグナルが検出された。 4週齢の雄性Wistar/STラットを用い、これらの抗がん剤を投与して影響を検討した。大量投与療法で使用されるL-PAMおよびMTXを投与したラットでは、L-PAM群で1-2週目にEDを発症したが、4週目には改善した。一方、MTX群では勃起機能の低下は観察されなかった。次に複数サイクルのレジメンで使用されるVCR、DTX、およびDOXを投与したところ、いずれの抗がん剤でも投与回数が増えるにつれてEDを発症した。これらの抗がん剤を4週間投与した後、休薬期間を設けた場合、VCR投与群では8週間の休薬後もEDがみられたが、12週目にはEDが改善した。一方、DTX群では、12週間の休薬期間後もEDは改善されなかった。DOX投与群では、4週間の休薬により、EDの改善が観察されたが、休薬の12週間目に再びEDを発症した。 以上より、大規模データベース解析により検出されたED発症のリスクを増大させる抗がん剤は、将来の性機能へ影響を及ぼす可能性が示唆された。実際の抗がん剤治療を行う際、男性性機能障害回避のために抗がん剤治療を中断させることはできない。そのため、抗がん剤治療と並行できる、もしくは抗がん剤治療後に男性性機能を改善させる治療法の開発が必要である。
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