2019 Fiscal Year Research-status Report
Identification of epigenetic mechanisms of prostate tumorigenesis through AR and FOXA1
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18K16725
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
佐藤 広明 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (50813250)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 前立腺癌 / 去勢抵抗性前立腺癌 / 癌エピゲノム / アンドロゲン受容体 / 転写因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
前立腺癌のマスター転写因子であるAR、そのパイオニア転写因子であるFOXA1の支配領域ならびに近傍エピゲノム情報の統合解析を行った。 前年度までに、AR, FOXA1, BRD4を主体としたエンハンサー制御機構が、去勢感受性モデル前立腺癌細胞株LNCaPと去勢抵抗性前立腺癌 (CRPC) モデル細胞株LNCaP95において高い類似性がある一方で、shRNAあるいはJQ1によるBRD4阻害で得られる細胞増殖抑制効果に顕著な差異があることを同定した。この差異はCRPC獲得の分子機序に深く関わると考えられた。 エンハンサーの集簇から定義されるスーパーエンハンサーという概念が近年提唱され、種々の癌において癌遺伝子制御や腫瘍不均一性などと関係することが多数報告されている。H3K27acのChIPシグナルからスーパーエンハンサーをLNCaP, LNCaP95ともに算出し、AR, FOXA1, BRD4が制御するエンハンサー領域との比較検討を行った。興味深いことに、LNCaPではスーパーエンハンサーの約60%がARの制御領域と一致した一方で、LNCaP95においてはその一致率はわずか25%程に低下しており、AR非依存的なスーパーエンハンサー制御の存在が示唆された。 公共データベースの臨床検体を用いたトランスクリプトーム解析においても同様の傾向が認められ、AR非依存的スーパーエンハンサーの近傍には重要な癌遺伝子群が有意に濃縮した。CRPCにおける治療抵抗性獲得機序に深く関わり、かつ治療標的となり得る分子機構と考えられ、AR非依存的な制御機構の根幹をなす転写因子とその下流標的の同定に進んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に見出した、LNCaP95におけるAR/BRD4から独立した生存機構を解明するためにスーパーエンハンサーに着目したところ、AR非依存的なスーパーエンハンサー制御の存在を同定した。現在、この分子機構の詳細を明らかにするため、既に候補となる転写因子や下流標的を抽出しており、その機能解析と臨床的意義の検討へと進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
AR非依存的なスーパーエンハンサー制御を担う転写因子の候補を抽出し、その機能解析を行う。具体的には、同因子に対するノックダウンやノックアウトを行い、RNA-seqの解析や細胞増殖抑制効果の確認を行う。臨床的意義の検証のため、公共データベースにおける情報と、臨床検体から得られる発現情報 (mRNAレベル、蛋白レベル) との統合解析を行う。
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Causes of Carryover |
今年度においては前年度時点で購入していた物品を継続使用・消費することで研究遂行することが可能であったため、予定したよりも物品費が未使用となった。次年度においては、追加の次世代シークエンサー用いた解析や臨床検体解析において、物品費の使用が見込まれる。また、最終年度として成果発表のための学会報告や論文作成のため、旅費やその他費用の使用も見込まれる。 おおむね、想定内の差額と考えられる。
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Research Products
(2 results)