2018 Fiscal Year Research-status Report
ゲノムワイドな解析手法を用いた治療抵抗性前立腺癌に対する新規治療標的の同定
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18K16731
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉山 愛子 京都大学, 医学研究科, 特定研究員 (30642699)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 去勢抵抗性獲得機構 / スプライシングバリアント |
Outline of Annual Research Achievements |
前立腺癌は本邦で死亡数が増加している癌腫で、進行症例に対する標準治療としてアンドロゲン除去療法が施行される。Enzalutamide等の新規坑アンドロゲン剤の臨床応用が進む一方、アンドロゲン受容体(AR)のバリアントであるAR-V7高発現症例では同薬剤に抵抗性を示すことが報告され喫緊の問題となっている。 AR-V7は遺伝子構造的にリガンド結合ドメインを欠失しており、リガンドであるアンドロゲン非依存的に標的遺伝子の転写活性を更新する可能性が示唆されているが、同バリアントによる去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)進展期には不明な点が多く、AR-V7の転写を制御する因子、AR-V7によって制御される因子は明らかになっていない。 本研究ではCRPC進展期においてAR-V7の転写活性に寄与する因子と、AR-V7によって転写制御される因子の把握するため、遺伝子発現解析とプロモーター解析に取り組んだ。 まず、LNCaP細胞株と、LNCaP細胞株より樹立したCRPC細胞株でAR-V7高発現を示すAILNCaP14, 15の3細胞株についてCAGE解析を行い、LNCaPとAILNCaPs間での遺伝子発現変動パターンを14クラスターに分類し、AILNCaPsで発現上昇する遺伝子群、低下する遺伝子群を抽出した。さらにそれら抽出した遺伝子群について、LNCaP細胞株、AILNCaPs細胞株間で転写開始点レベルでの発現量を比較し、発現量の異なる転写開始点を持つ遺伝子を絞り込んだ。次に、これら転写開始点から上流2Kbのゲノム配列について、モチーフ解析を行い、AILNCaPsで発現変動を示す遺伝子群の転写制御に関係する転写因子遺伝子群を推定した。 現在、これら3細胞株についてRNA-seq解析を行い、AR-V7と発現相関を示す遺伝子の探索を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画目標は前立腺癌がAR-V7高発現の去勢抵抗性を獲得する際に発現変動する遺伝子群とその発現制御に関与する転写因子遺伝子群を絞り込むことであるが、これについては、上記のように発現変動を示す遺伝子群は14のクラスターに分類することができ、さらにそれら遺伝子群のモチーフ解析により、遺伝子群の転写制御に関与する転写因子遺伝子群を推定することができた。今後、計画に従って、解析を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
LNCaP細胞とAILNCaPs細胞のCAGE解析比較により、発現変動を示す遺伝子群の絞り込みができた。今後、同細胞を用いてRNA-seq解析を行い、AR-V7と発現相関を示す遺伝子群の抽出を行うとともに、ATAC-seqによるオープンクロマチン領域の同定を行い、LNCaPとAILNCaP細胞間でのエンハンサー領域の変化など網羅的に解析する。
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Causes of Carryover |
本年度にATAC-seqを行うことを予定していたが、サンプル調整に時間がかかったため、次年度に持ち越した。
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Research Products
(1 results)