2018 Fiscal Year Research-status Report
去勢抵抗性前立腺癌におけるAR-V7発現機構の解明とその治療適応
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18K16732
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川村 憲彦 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教員 (40722658)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 去勢抵抗性前立腺癌 / 癌治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
SF3B2がARのpre-mRNAに結合するか次世代シークエンサーを用いて解析しSF3B2が直接AR-V7に特異的な領域(cryptic exon 3)に結合する予備的な結果を得ていたが、この領域がAR-V7を発現させるために必要か否かを確かめる必要があった。この領域のDNAを遺伝子編集技術を用いて欠損させたところAR-Vの発現が低下することを明らかになり、AR遺伝子のcryptic exon 3の同領域にSF3B2が結合することがAR-V7の発現に重要であることを明らかにした。 SF3B2の強制発現によって転移性去勢抵抗性前立腺がん細胞においてAR-V7の発現が増加する予備的な結果を得ている。また、実際の前立腺がん症例においてもSF3B2の発現量はAR-V7発現量と正に相関することを見出している。SF3B2はAR-V7以外の遺伝子のスプライシングや発現を制御していると考えられるので、SF3B2を強制発現した細胞株とコントロール細胞株からRNAを抽出し、RNA-seqを行うことで網羅的な遺伝子発現解析を行い、SF3B2が遺伝子のスプライシングや発現にどのような影響を与えているかを解析したところ、SF3B2はこれまでの知見のように遺伝子のイントロン領域に結合するだけでなく、様々な遺伝子のエクソン領域にも結合すること、さらには結合するイントロン領域をスプライスアウトし、結合するエクソン領域をスプライスインすることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で明らかにすることとして、1.SF3B2がAR-V7を増加する分子機構の解明、2.SF3B2がスプライシング制御する遺伝子のゲノムワイド解析、3.Pladienolide BによるSF3B2の機能抑制の分子機構の解明、4.去勢抵抗性前立腺がんのマウスモデルにおけるPladienolide Bによる治療効果の検討の4項目を挙げていたが、そのうちの1.と2.の2項目の核心部分の実験データが得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
上記、明らかにする項目のうちの、3.Pladienolide BによるSF3B2の機能抑制の分子機構の解明、4.去勢抵抗性前立腺がんのマウスモデルにおけるPladienolide Bによる治療効果の検討、の実験計画に移る。
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Causes of Carryover |
H31年度使用予定の試薬費が想定よりも増額したため、H30年度の支出を抑えた。研究使用予定の試薬の購入に充てる。
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Research Products
(2 results)