2018 Fiscal Year Research-status Report
シングルセルRNAシークエンス法を用いた新規抗癌剤耐性誘導遺伝子の探索と機能解析
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18K16746
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
丹羽 直也 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (40626743)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 尿路上皮癌 / シングルセル解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
難治性である転移・再発性尿路上皮癌に対する新規治療アプローチとして腫瘍内不均一性(Intratumor heterogeneity)に着目した。近年の遺伝子網羅的解析技術の発展に伴い、細胞形質を変化させる新たな遺伝子変異や、酸化ストレス、低酸素刺激など、癌微小環境が促すエピジェネティック変化が腫瘍内で不均一に生み出されることがわかっている。本研究はシングルセルトランスクリプトーム解析を用いて、転移・再発性尿路上皮癌における薬剤耐性獲得に関わる治療標的を1細胞レベルで明らかにすべく検討を行った。独自にGFPを導入したヒトおよびマウス尿路上皮癌細胞株を樹立、これらGFP標識癌細胞を用いて同所性および異所性マウス腫瘍モデルを作成した。1細胞毎の解析を行うべく、そのプロトコールの確立を試みている。またこれまで機能解析がほとんどなされていないlong non-coding RNAに関して、保存ヒト組織検体を用いたin situ hybridizationのプロトコールを確立した
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度はまず、GFP遺伝子を導入したヒトおよびマウス尿路上皮癌細胞株を用いた同所性および異所性膀胱癌モデルを作成した。現在、このモデルマウスを用いた腫瘍細胞の回収し1細胞レベルでの解析を行うためのプロトコールの最適化をすすめている。 ヒト組織検体を用いてlong non-coding RNA(lnRNA)のin situ hybridizationの最適なプロトコールを確立した。これまで膀胱癌との関連していると報告されているMALAT-1, UCA1, NEAT1といったlnRNAが実際に組織検体上で染色されることを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)CDDP耐性を誘導する遺伝子発現機構を1細胞レベルで検討:本年度作成した同所性および異所性膀胱癌モデルマウス、および現在確立を試みているプロトコールを用いて、抗癌剤投与前後での1細胞レベルでの遺伝子発現の変化を比較検討する。 (2)(1)で得られたシングルセルRNAシークエンスはProtein-coding gene以外に, Micro RNAやLong non-coding RNA(lnRNA)も含む。特にlnRNAに関しては既に確立されたプロトコールを用いて、保存ヒト組織検体のin situ hybridization等を行い、抗がん剤耐性に関わる機能解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
1細胞毎の解析を行うプロトコールの確立に時間がかかり、実験計画に遅延が生じたことが原因である。翌年度の助成金とともに次年度使用額を用いて、確立されたプロトコールを用いたシングルセル解析を行う予定である
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