2020 Fiscal Year Research-status Report
子宮内膜症を合併した不妊症におけるNK細胞機能分担と機能発現の解明
Project/Area Number |
18K16752
|
Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
山谷 文乃 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (50623766)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 子宮内膜症 / NK細胞 / NCR |
Outline of Annual Research Achievements |
子宮内膜症で手術を行う患者と他の良性疾患で手術を行う患者より腹水を採取し、腹水中のNK細胞のNatural Cytotoxicity Receptor(NCR)とそれに伴って発現(共発現)しているほかの活性性受容体と抑制性受容体についてフローサイトメトリーを用いて解析した。その結果、これまでの結果と同様、子宮内膜症患者でのNCRのNKp46発現が低下しており、さらに、活性性受容体のひとつであるNKG2Dの発現低下、抑制性受容体のひとつであるNKG2Aの発現上昇がみられた。すなわち、子宮内膜症患者での腹腔内NK細胞は細胞傷害性が低下しており、腹腔内に逆流してきた子宮内膜症細胞を排除できず悪化させてしまうと考えられた。また、それらの細胞が産生しているサイトカインについて現在解析をすすめている。 今後さらに、手術患者のその後の妊娠の有無について調査し、不妊症を呈する患者、不妊症を呈しない患者でNK細胞の表面抗原発現に違いはみられないか解析する予定である。この研究が進むことにより、子宮内膜症のなかでサブグループが存在するか否かを提唱することができ、また、将来的にそれに合わせた治療方法などの開発にも貢献することができると考える。 研究実施計画にあった子宮内膜の採取については検体数が少なく、まだ解析には至っていない。今後体外受精を行う患者で、治療前の子宮内膜採取をすすめていけるように努力する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の蔓延により患者の減少と、採取する検体の減少がみられた。また、研究者の所属の変更により、研究体制を構築することに少し時間を要した。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究期間中に子宮内膜を採取して研究を進めることが困難である可能性が高い。そのため、手術患者の腹水を採取してそのNK細胞の表面抗原の共発現を解析する方法に変更し、それらの患者の不妊治療経過や妊娠の有無によってさらに解析をすすめていく。また、子宮内膜採取についても本研究期間を過ぎても継続して行えるよう、当施設での研究体制を整えていく。
|
Causes of Carryover |
COVID-19の蔓延により予定していた学会が延期になり、旅費は使用しなかった。また、実験物品についても研究検体が計画よりも少なかったために請求額が少なかった。翌年度は学会参加のほか、論文投稿などにも使用していきたい。
|
Research Products
(4 results)