2018 Fiscal Year Research-status Report
婦人科悪性腫瘍の過凝固状態に着目した新たな治療戦略の探索
Project/Area Number |
18K16755
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
櫻井 学 筑波大学, 医学医療系, 講師 (30638979)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | venous thromboembolism / tissue factor / endometrial cyst |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、悪性腫瘍以外での組織因子(TF)の発現頻度と悪性化に及ぼす影響の解明に沿った研究を実施した。 これまでの研究でTFは卵巣癌の中でも、特に明細胞癌で高発現であることがわかっている。その明細胞癌では子宮内膜症を合併していたり、卵巣の子宮内膜症性嚢胞が癌化して明細胞癌になることも知られている。そこで、当院で2013年から2017年までに手術を行った80名の子宮内膜症性嚢胞の手術検体を用いて、TFの免疫染色を行なった。現在、220枚のスライドを検鏡してTFの発現状況を調べている状況である。また、発現頻度や強度が「高齢」「腫瘍径」といった子宮内膜症の悪性化のリスク因子と関連しているかを解析する予定である。さらに、子宮内膜症患者でも静脈血栓塞栓症(VTE)を合併している患者が見られたので、VTEの発生とTFの関連も解析する。TFの発現状況と子宮内膜症が悪性化する因子との間に関連があれば、TFが悪性化のマーカーとなり得る可能性がある。 また、今年度行った研究として、「婦人科悪性腫瘍患者でのVTEの発生頻度とリスク因子に関するデータの論文化」を行った。2004年11月から2017年12月までに当院で治療を行った卵巣がん(卵管がん、腹膜がんを含む)、子宮体がん、子宮頸がんの2086名を対象とした解析である。婦人科悪性腫瘍患者とVTEとの関連は、本研究を行う上で最も核となるデータであるため論文化を試みた。British Journal of Cancer に投稿したが採択に至らなかったので、現在、内容を推敲して次の雑誌への投稿を準備している段階である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究で掲げた3つの目的のうち、1つに着手することはできたものの、まだ解析が済んでおらず、positive detaかどうかが判明していないため。
|
Strategy for Future Research Activity |
「悪性腫瘍以外での組織因子(TF)の発現頻度と悪性化に及ぼす影響の解明」を速やかに行う。positive detaであれば論文化を進める。 「婦人科悪性腫瘍患者でのVTEの発生頻度とリスク因子に関するデータ」の再投稿を行う。 残り2つの目的である「婦人科悪性腫瘍におけるTF陽性MPs活性と病勢の進展との関連についての解明」と「婦人科悪性腫瘍における抗凝固療法と腫瘍の進展の抑制の関連についての解明」も並行して進めていく。
|
Causes of Carryover |
当該年度では、a)「婦人科悪性腫瘍におけるTF陽性MPs活性と病勢の進展との関連についての解明」を行う予定であった。方法としてフローサイトメトリーを用いて、卵巣癌患者における循環血液中でのTF関連MPsの発現を測定したり、マイクロプレートリーダーを用いてTFの活性を測定する予定であった。先んじて、b)「悪性腫瘍以外でのTFの発現頻度と悪性化に及ぼす影響の解明」を進めたために支出額が予定を下回ることとなった。 時年度では、b)の研究結果をまとめつつ、a)の研究も行う予定である。
|