2019 Fiscal Year Annual Research Report
Novel strategy of ovarian cancer implantation, Preinvasive growth of fibrin anchored cells with neovascularization
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18K16762
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
松岡 歩 金沢大学, 附属病院, 医員 (50579662)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Tissue factor / 腹膜外血管新生 / 中皮細胞層 / 癌細胞集塊 / 卵巣癌腹膜播種 |
Outline of Annual Research Achievements |
卵巣癌腹膜播種病変の病理組織において腹膜に対峙している癌細胞集塊で、炎症誘導因子やfibrin形成誘導に関連する蛋白の発現を免疫組織学的に検討した結果、癌細胞集塊周囲にはTissue factorが特に強く発現しており、腫瘍塊のtrapに凝固機構が関与している可能性が示唆された。次に、癌細胞集塊がfibrin網への間質細胞遊走を誘導して、癌集塊の周囲に腹膜組織と連続した間質組織を形成し、形成された間質内に新生血管が進展する(腫瘍播種の成立)という仮説のもと、間質組織でのCancer associated fibroblast (CAF)の発現と 、血管新生誘導因子の産生をCD34やVEGF-AとD2-40の発現等で評価したところ、間質内の繊維芽細胞と新生血管の存在を確認した。これらの組織学的所見から卵巣癌腹膜播種機構において、凝固系機構の関与による癌細胞のtrapping、そして引き続く間質細胞の誘導と血管新生による腫瘍のgrowingによる播種成立の可能性が示唆された。また、卵巣癌患者における腹水中と血液中の血漿でのTFの値をELISAを用いて検討すると、腹水中には血液中より有意にTF値が高いことがわかった。 今回腹膜転移部位の詳細な観察により、「Fibrin網による癌細胞集塊のtrap、それを足場に新生血管や間質組織を周りに構築し成育し、浸潤する」というこれまでと異なる観点での播種形成機構が考えられた。組織の再構築や修復で重要な凝固系機構が播種形成の初期から関与しており、播種の制御に対する治療に結びつく可能性がある。
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