2019 Fiscal Year Research-status Report
難治子宮頸癌におけるストレス顆粒に基づくメタジェニックストレス誘導EMTの新展開
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18K16766
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
内海 史 藤田医科大学, 医学部, 講師 (10749261)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ストレス顆粒 / 子宮頸癌 / UBAP2L / EMT |
Outline of Annual Research Achievements |
SStress granule (SG: 細胞内ストレス顆粒) は特定のストレスにより形成される細胞膜を持たない細胞質構造体である。SGは細胞をストレスに適応させ生存方向へ働かせる重要な役割があることが知られている。癌は、低酸素、酸化ストレス、低栄養、そして治療として曝露される抗癌剤や放射線治療のストレス下で生存する癌細胞とSGとの関わりが注目されており、抗癌剤耐性を伴う種の癌ではSG形成が過剰に形成され、細胞死が起きにくくなることが指摘されている。これまでの研究でUBAP2Lというタンパクが、多くのSG構成因子に結合することがわかっている。さらにSGに関する新たな知見を得るため、本研究では難治性子宮頸癌における種々の微少環境ストレス誘導性転移と治療抵抗性のリンクについてSG とUBAP2LについてEMTの視点から明らかにすることを目的とした。 得られた結果について詳細を示す。 子宮頸がん患者84名を手術検体のUBAP2Lの発現により2群化(高発現群53.6%、低発現群46.4%UBAP2L高発現群で有意に予後不良と相関を認めた。TCGAデータベースを使用しデータの妥当性を検証したところ同様にUBAP2Lの高発現は予後不良と相関していた。これにより、UBAP2Lの過剰発現は予後不良と相関し癌の進行に寄与することが明らかとなった。 子宮頸がんにおいて、UBAP2Lの機能を明らかにするために、子宮頸がんの細胞株を用いて、UBAP2LをノックダウンしUBAP2Lが細胞増殖へ与える影響を解析した。Caski細胞とSiHa細胞において、いずれもUBAP2Lノックダウン株において有意に増殖が低下したことを確認した。また、Ubap2Lノックダウン株では細胞周期においてG0/G1期の細胞が減少しS期の細胞が増加しG2/Mの期の細胞も増加し細胞周期の停止と関連していることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
もともと研究を行っていた名古屋大学から現施設へ異動となり、研究組織との連携により時間がかかっている状況である。すこしでも研究に寄与できるよう、前施設での子宮がん症例の集積および細胞機能解を続け、現行における抗癌剤耐性を改善する治療の可能性について、可能であればその分子学的解析も加え、さらなる論文化を目指す予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
上記に記したように、引き続き難治性子宮頸がんにおけるSGおよびUBAP2Lの抗癌剤耐性、転移浸潤の分子生物学的解明と、特にEMT誘導性に与える影響の検証を継続していく。 また、UBAP2L発現にたいしてStabl knockdown株を作成中であり、これらSG形成の抑制によってシスプラチン耐性/放射線抵抗性子宮頸がん細胞の感受性回復がなされるか、動物実験系において検討していく予定である。また、再発子宮がん患者の再発組織検体を用いて再発総出のUBAP2L発現およびEMT関連分子の発現の関連性、さらに患者の腫瘍学的な予後との関連を追及する予定である。
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Causes of Carryover |
機能解析に使用する試薬が、他の研究と共有できたため、試薬や消耗品にかかる費用が節約できた。また予定していた研究計画よりも遅れが生じたため、予定していた試薬やマウスの購入費が予定よりも少なくなった。 (使用計画)引き続き次年度に予定していた試薬やマウスの購入に充てるとともに消耗品費用に充てる。
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