2018 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the mechanism of differentiation from iPS cells to mural tubules: Toward the creation of new infertility treatment methods
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18K16768
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
武内 大輝 三重大学, 医学系研究科, 助教 (50739612)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | iPS細胞 / 中間中胚葉 / 体腔上皮細胞 / ミュラー管上皮細胞 / BMP経路 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の不妊患者の増加に伴い、体外受精件数は右肩上がりで上昇しているが、体外受精技術の飽和もあり、治療成績は頭打ちの傾向にある。不妊因子は様々あり、卵子の不妊因子は研究が進展し臨床応用も進んでいるが、着床の不妊因子となる子宮内膜組織に起因する不妊要因の研究は、in vitroでの研究ツールが少なくあまり進展していない。 我々は女性要因の中でも卵管・子宮・卵巣等雌性生殖器由来の不妊の新規治療法の創出を目指して、多能性幹細胞から雌性生殖器の初期発生に重要なミュラー管上皮細胞への誘導系の開発のため、各誘導段階で関与が示唆されているActivin/NodalやWnt/βカテニン経路、そして中でも中間中胚葉からミュラー管上皮細胞の発生に関わるBone Morphogenetic Protein(BMP)とレチノイン経路に着目し検討した。 2018年度はまず誘導の第一段階である中間中胚葉までの誘導条件を決定するため上述した各因子等を添加し、遺伝子とタンパク質の発現を確認したところ、マーカーであるOSR1/LHX1/PAX2の発現の上昇と局在が確認された。次に体腔上皮(前駆ミュラー管上皮細胞)の誘導条件を検討したところ、マーカーであるPAX2/HOXA10/HOXA13の発現や局在が確認された。以上の結果より、中間中胚葉の誘導にはActivin/Nodal経路やBMP経路の活性化、Wnt/βカテニン経路やPI3K経路の阻害が、体腔上皮細胞への誘導にはFGF経路の活性化とBMP経路の阻害が重要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度では中間中胚葉と体腔上皮細胞への誘導にActivin/Nodal経路やBMP経路の活性化、Wnt/βカテニン経路やPI3K経路の阻害が重要であることが示唆された。また次の誘導段階である体腔上皮細胞への誘導にはFGF経路の活性化とBMP経路の阻害が重要であることを確認した。 次年度では次の誘導段階であるミュラー管上皮細胞への誘導に、BMP経路やレチノイン酸経路が関与しているのかを明らかにするため、各経路の活性化因子や阻害薬を添加し、マーカーであるAmhr2/WT1/ISLET1の発現や局在を確認し、免疫不全マウスの腎皮膜下に移植する事で、誘導したミュラー管上皮細胞が子宮内膜細胞にin vivoで発生するかを確認する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度も計画通り研究を進める予定である。 ミュラー管上皮細胞の誘導に関与するシグナル経路としてBMP経路とレチノイン酸経路に着目し、前年度までに確立した体腔上皮細胞までの誘導系を用いて誘導した細胞に対し、上記のシグナルを活性化若しくは阻害する試薬を添加して培養し、各マーカーの発現を確認する。また誘導したミュラー管上皮細胞が子宮内膜細胞の源細胞であるかを確認するため、SCIDマウスの腎皮膜下に移植し、移植後から内膜の誘導に必要な化合物やホルモン剤を投与し、子宮内膜細胞に発生したかを確認する。
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