2021 Fiscal Year Research-status Report
インターフェロン誘導性抗ウイルス因子の胎盤形成に及ぼす影響
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18K16773
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
泉田 真生 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (90567299)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 自然免疫 / 胎盤 / 内在性レトロウイルス / 妊娠高血圧症 / シンシチン / インターフェロンガンマ |
Outline of Annual Research Achievements |
内在性レトロウイルスであるシンシチンは胎盤に発現しており、細胞融合を起こすことで胎盤形成に重要な役割を果たす。我々はこれまで、インターフェロンγによって誘導される宿主遺伝子GILTが抗ウイルスエンベロープ作用を持つことを見出した。妊婦のマラリアやトキソプラズマ感染症は、早産や流産の原因になる。これらの妊婦ではインターフェロンγが上昇していることがわかっている。本研究では、インターフェロン誘導遺伝子によって発現した抗レトロウイルス因子が、シンシチンによる細胞融合を阻害するという仮説のもとにin vitroの実験と、ヒト胎盤を用いた実験を行なった。 今年度は、妊娠高血圧症患者と、正常妊娠経過で出産に至った患者のヒト胎盤を用いてインターフェロン誘導遺伝子の発現量を解析した。また、これらはシンシチンレセプターに影響がないことを証明するためにリアルタイムPCRを用いてRNAレベルでレセプターの定量比較を行なった。妊娠高血圧症患者は正常妊娠患者に比べて、抗ウイルスエンベロープ作用を持つインターフェロン誘導遺伝子の発現量が高いことがわかった。また、シンシチンレセプター量の発現量に差異はなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、臨床研究はベトナムのコホートにおける正常妊娠と、異常妊娠の胎盤を使用する計画であったが、コロナウイルス感染症の流行に伴い、渡航や研究の継続が非常に困難となった。国内で、妊娠高血圧症と正常妊娠の患者胎盤を用いての解析となった。
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Strategy for Future Research Activity |
ベトナムコホートでの胎盤採取は非常に困難な状況となっている。本研究は、感染症に曝露された時に、宿主因子がヒト疾患に与える影響を明らかにすることである。今年度は、胎盤形成不全にこだわらず、他の疾患について、感染症と宿主因子、ヒト疾患の関連性を明らかにしていくため、ベトナム以外の国に打診中である。
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Causes of Carryover |
海外コホート活動の再開の機会を伺っているがコロナウイルス感染症により再三の計画変更を強いられているため、購入予定であった物品等の注文ができていない。現在、他国のコホート参加の調整中であり、胎盤形成不全のみに関わらず、他の疾患にも目を向けている。使用計画としては、渡航費用やその実験の必要物品の購入に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)