2018 Fiscal Year Research-status Report
エストロゲンによる動脈硬化作用機序の解明と安全なホルモン補充療法の基盤確立
Project/Area Number |
18K16775
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
伊藤 文武 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60756849)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ホルモン補充療法 / 動脈硬化 / 接着因子 / エクイリン / エストラジオール |
Outline of Annual Research Achievements |
閉経後女性に対して行われるホルモン補充療法(HRT)の際には、エストロゲンとして結合型エストロゲン(CEE)が、プロゲストーゲンとして酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA)が繁用されている。これらが動脈硬化リスクを高めているとする報告が多いにも関わらず、研究手法の困難さゆえ、各種ステロイドホルモンの動脈硬化リスクに対する影響は未解明な部分が多い。研究代表者らは、血管内皮細胞への動脈硬化リスクを評価する系を独自に確立し、MPAが単球の血管内皮への接着を亢進させることで動脈硬化リスクとなることを明らかにしてきた。本年度はエストロゲンとして、天然型のE2、エストロン (E1)、エストリオール (E3)、エステトロール (E4)、CEEに含まれるEq、エクイレニン (EL)、経口避妊薬に含まれるエチニルエストラジオール (EE)を用いてヒト臍帯静脈血管内皮細胞における接着因子発現への影響を検討した。結果、CEEに含まれるEqが天然型のE2と異なり、接着因子(E-selectin、P-selectin、ICAM-1、VCAM-1)のmRNA発現量およびタンパク発現量を増加させることを見出した。さらに、flow chamber systemを用いた単球の接着実験において、Eq群では血管内皮細胞への単球の接着数が上昇した。以上の結果から、E2と異なり、Eqは、血管内皮接着分子の発現を増強させ、単球接着も促進させることから、動脈硬化発症のリスクとなる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果の一部は学会発表や論文投稿を行なっており、当初の計画通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
エクイリンによる接着因子発現上昇の機序を解明する。
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Causes of Carryover |
物品費が予定よりも下回った。次年度に物品費として使用する予定である。
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Research Products
(8 results)