2018 Fiscal Year Research-status Report
骨盤内膿瘍に対するMRスペクトロスコピーとNGSを用いた新たな診断治療法の構築
Project/Area Number |
18K16779
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
野上 侑哉 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 共同研究員 (90574294)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | MR Spectoroscopy / リンパ嚢胞感染 / 起因菌同定 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画に従い、17例の婦人科骨盤内の患者をリクルートし、同意取得のうえ、MRI撮像時にあわせて、MR Spectoroscopy(MRS)を施行した。そのうち1例は膿瘍ではなく悪性腫瘍の転移巣であったため除外した。リクルートした症例は卵管膿瘍4例、卵巣膿瘍1例、ダグラス窩膿瘍2例、リンパ嚢胞感染9例であった。臨床的判断で加療が行われ、適応と考えられた症例は、手術ないしは経皮的ドレナージが行われた。リンパ嚢胞感染以外の7例はすべて手術ないしは経皮的ドレナージが行われた。リンパ嚢胞感染例のうち、6例がドレナージが行われ、3例は保存的加療のみで改善した。手術ないし経皮的ドレナージが行われた場合は、膿瘍内容液を-80℃で保存し、のちに16s ribosomal RNAの次世代シークエンスによる菌叢解析にて真の起因菌の同定を行った。 MRSの信号と、菌叢解析による起因菌の結果、またドレナージの要否などの臨床経過の予想などについては、今後解析し、2019年度に第71回日本産科婦人科学会にて発表予定である。 なお、それに先立って、リンパ嚢胞感染に対し、16s ribosomal RNAの次世代シークエンスによる菌叢解析にて真の起因菌の同定を行った研究はこれまで報告がなかったため、別で報告した。骨盤内膿瘍となったリンパ嚢胞感染では、消化管由来の膿瘍と異なり、複合感染や嫌気性菌の関与は少ないとされていたが、NGSの菌叢解析を用いた起因菌同定においても同様の結果となり、真の起因菌の分布をより強固に示唆するものとなった。この内容は英文誌 Infectious Diseases in Obstetrics and Gynecologyに投稿し、2019年2月に掲載された。これについても2019年度の第93回日本感染症学会にて発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画は既に進行していた状態で、症例のリクルート、検体保存は進行しており、今回科研費からの研究資金の補助により、資金面での問題で滞っていたものが順調に進行したため、初年度であるが大幅に進行できた。
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Strategy for Future Research Activity |
MRSの信号と、菌叢解析による起因菌の結果、またドレナージの要否などの臨床経過の予想などについては、今後解析をすすめ、学会発表、論文執筆、投稿をすすめる。
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Causes of Carryover |
予定していた他施設への見学を行わなかったため。また効率的な物品調達を行った結果。 次年度の使用計画としては、集積したデータを本研究費にて購入した機器、ソフトを用い、解析をすすめ、その結果を順次、学会発表、論文執筆、論文投稿を行っていく。予定としては、名古屋で開催される第71回日本産科婦人科学会、第93回日本感染症学会を予定している。
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Research Products
(1 results)