2018 Fiscal Year Research-status Report
スタチン製剤の多面的効果とワールブルク効果への影響に着目した卵巣癌新規創薬研究
Project/Area Number |
18K16780
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小林 佑介 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (10439763)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 卵巣癌 / ドラッグリポジショニング / スタチン / ワールブルク効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
1。スタチン製剤の抗腫瘍効果における多面的効果の作用経路についての検討 スタチン製剤のメバロン酸合成経路以外の作用経路を明らかとするべく、ファルネシル転移酵素およびゲラニルゲラニル転移酵素を同時阻害するL-778123とSimvastatinを各々添加培養した卵巣癌細胞株OVSAHOとKURAMOCHIを用いてマイクロアレイ解析を行った。結果として、両細胞株で共通してL-778123と比較してSimvastatin投与により有意に上昇しているGO bioprocessとしてpositive regulation of release of cytochrome c from mitochondria、apoptotic signaling pathway、cell aggregationなどが、GO cellular componentとしてintegral component of plasma membrane、extracellular space、intrinsic component of plasma membraneなどが、GO molecular functionとしてspermidine binding、diamine N-acetyltransferase activityが明らかとなった。一方で、L-778123と比較してSimvastatin投与により有意に低下しているGO bioprocessとしてcell cycle process、chromosome segregation、nuclear chromosome segregationなどが、GO cellular componentとしてchromosome、non-membrane-bounded organelle、kinetochoreなどが、GO cellular componentとしてcatalytic activity, acting on DNA、actin binding、cytoskeletal protein bindingなどが明らかとなった。
2。スタチン製剤のワールブルク効果に対する制御機構の検討 解糖系の律速酵素であるpyruvate kinase (PK) のsplicing variants M1、M2 (PKM1、PKM2)、PKの選択的splicingを実行するsplicerとしてheterogeneous nuclear ribonucleoprotein (hnRNP)ファミリーのPTBP1の、スタチン投与による発現変化について定量的qRT-PCRを行った。結果として、PKM1とPKM2の発現に変化は見られなかったが、その制御因子であるPTBP1の発現がSimvastatin投与群において有意に上昇していた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
スタチン製剤のワールブルク効果に対する制御機構として、PKM1とPKM2の発現に変化は見られなかったが、その制御因子であるPTBP1の発現がSimvastatin投与群において有意に上昇しており、その調節機構の解釈を検討しているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
1。スタチン製剤の抗腫瘍効果における多面的効果の作用経路についての検討 マイクロアレイ解析により明らかとなったSimvastatin特異的な作用経路群に対して、細胞増殖抑制効果、ならびにapoptosisやautophagy、G1 arrestなどの観点からスタチン製剤の多面的効果について評価する。 2。スタチン製剤のワールブルク効果に対する制御機構の検討 以前に行ったメタボロミクス解析の結果から立てたワールブルク効果に対する制御機構に関する仮説について、一致した結果が得られていないため、再度のメタボロミクス解析による再検証も検討する。 3。臨床検体を用いたスタチン製剤の奏効確認とその評価系の樹立 当初予定計画に加えて、慶應義塾大学医学部倫理委員会の承認の下、術中迅速診断にて卵巣癌と診断された症例において腫瘍を一部採取し、Histoculture Drug Response Assay (HDRA法)によりスタチン製剤への薬剤感受性としてinhibition indexを算出することで臨床検体を用いたスタチン製剤の奏効確認とその評価系の樹立について検証する。
|
Causes of Carryover |
理由;スタチン製剤のワールブルク効果に対する調節機構の解釈に時間を要し、予定していた臨床検体を用いたワールブルク効果に対する制御機構の検証と評価系の樹立にまで至らなかったため。
使用計画;当初予定計画に加えて、慶應義塾大学医学部倫理委員会の承認の下、術中迅速診断にて卵巣癌と診断された症例において腫瘍を一部採取し、Histoculture Drug Response Assay (HDRA法)によりスタチン製剤への薬剤感受性としてinhibition indexを算出することで臨床検体を用いたスタチン製剤の奏効確認とその評価系の樹立について、助成金により遂行していく予定である。
|
-
-
-
-
-
[Presentation] Drug repositioning for ovarian cancer targeting mevalonate pathway.2019
Author(s)
Yusuke Kobayashi, Haruko Kunitomi, Kouji Banno, Shimpei Nagai, Mayuka Anko, Takayuki Takahashi, Moito Iijima, Takashi Takeda, Keiko Watanabe, Yusuke Matoba, Kanako Nakamura, Kosuke Tsuji, Eiichiro Tominaga, Mamoru Tanaka, Daisuke Aoki.
Organizer
Royal College of Obstetricians & Gynaecologists (RCOG) World Congress 2019.
Int'l Joint Research
-
[Presentation] Bisphosphonates, another candidate of drug repositioning for ovarian cancer.2018
Author(s)
Yusuke Kobayashi, Kouji Banno, Haruko Kunitomi, Keiko Watanabe, Yusuke Matoba, Moito Iijima, Takashi Takeda, Masataka Adachi, Miho Iida, Kanako Nakamura, Kosuke Tsuji, Eiichiro Tominaga, Mamoru Tanaka, Daisuke Aoki.
Organizer
第70回日本産科婦人科学会学術講演会 International Session Workshop.
-