2018 Fiscal Year Research-status Report
月経血エクソソーム由来microRNA検出による新しい子宮内膜がん検診法の開発
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18K16781
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
西島 良美 帝京大学, 医学部, 助教 (10710733)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 月経血 / 自己採取法 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年女性の社会進出やライフスタイルの変化に伴い、子宮内膜疾患が若年女性を含め増加傾向にある。しかし病変発見の一助となりうる子宮体がん検診は対象者が非常に限定されており、新たな検診補助システムの構築が急務である。本研究では、性成熟期の女性が定期的に自ら排泄している月経血を利用した、非侵襲的で簡便な新たな検診補助法の開発を目標としている。平成30年度は、月経血の回収方法および回収後の処理方法の検討、月経血に含有される細胞成分を明確にすることを目的に研究を行った。月経血の回収方法の検討では、既存の生理用品であるナプキン、タンポンおよび日本製の月経カップであるROSE CUPを用いて回収率を検討した。検討は、健常成人ボランティアより提供された月経周期1日目および2日目の月経血を用いて行った。ナプキンは月経血がゼラチン状に固化し回収不可であった。タンポンでは付着した月経血を平均7.5ml、月経カップでは平均64.2ml回収可能であった。回収した月経血を遠沈後、液状化細胞診固定液にて固定し細胞標本を作製、形態学的に含有細胞成分を解析したところ、子宮腺由来の上皮細胞成分が変性なく観察された。出現していた腺上皮成分は、月経カップ回収の方がタンポン回収よりも有意に多かった。さらに膣壁や膣円蓋部の剥離と考えられる扁平上皮細胞や扁平上皮化生細胞を多数認めた。また腺細胞のアポトーシスを検出するM30 CytoDEATH染色の平均陽性率は9.6%と低値であった。これにより月経カップを使用して、変性のない子宮腺成分を含む月経血を、効率よく十分量回収できることが明らかとなった。また月経カップ回収の月経血内細胞成分のフローサイトメトリー解析結果から、4日間、4℃保存で生細胞が70%含まれることが明らかとなった。月経血を回収後速やかに冷蔵保存し処理することで生細胞成分を解析可能であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度の計画のうち、月経血の保存法および検体処理法の検討についての研究計画はおおむね順調に進んでいる。しかし、解析方法の条件検討およびサンプル回収に時間を有し、さらに細胞成分解析の条件検討にも時間を有したため、次に予定をしていた月経血内のエクソソーム回収およびmiRNA解析にまで至らず、計画としてはやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度より研究機関を移動したため、早急に実験環境を整え計画を進めていく予定である。 1. 月経血エクソソーム由来のmiRNA検出法を確立するため、まずは月経血内にエクソソームが含まれていることを明確にするためにエクソソームの回収方法を検討し、さらにmiRNAの検出法を検討する予定である。 2. 月経血より解析可能と考えられる子宮内膜疾患のエクソソーム内miRNA発現解析の臨床応用に対する意義を検討するため、パラフィン包埋組織材料を用いて子宮内膜病変の進展とmiRNA発現の臨床病理学的特徴との関連性について検討する。群馬大学医学部附属病院病理部で保管されている症例から抽出を行い、子宮内膜症、正常子宮内膜、子宮内膜増殖症、子宮内膜癌症例などの臨床病理学的特徴とin situ hybridization法によるmiRNA発現の組織局在との関連性を検討する方針である。
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Causes of Carryover |
【理由】当初予定していたエクソソーム抽出およびmiRNAの解析の検討に着手できず、それらに使用する試薬等の購入を見送ったことから予定額に残額が生じることとなった。 【使用計画】本年度の差額分は次年度のエクソソーム抽出およびエクソソーム内miRNAのリアルタイムPCR解析のための試薬や消耗品およびin situ hybridization法のプローブや試薬の購入に使用する予定である。
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