2018 Fiscal Year Research-status Report
3次元がん幹細胞培養系を用いた、卵巣がん腹膜播種促進メカニズムの解明
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18K16786
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
山脇 芳 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 特任研究員 (90650622)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 卵巣がん / がん幹細胞 / 腹膜播種 / 抗がん剤耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
患者腹水由来卵巣がんスフェロイド細胞の追加樹立を試み、現在までにを20超える細胞の樹立に成功した。樹立したスフェロイド細胞はがん幹細胞性能を有していた。免疫不全マウスへの腹腔内注入による腹膜播種モデルを確立し、卵巣がんスフェロイド細胞の腹膜播種形性能を確認したところ、追加樹立した一部の細胞において腹水暴露による前処理を行わずとも強い腹膜播種形成能をもつものを発見した。また、その細胞はプラチナ製剤に対する耐性も有していた。樹立したスフェロイド細胞に対してRNAシーケンスによる網羅的トランスクリプトーム解析を行い、高転移能をもつ細胞ではSOX2、CD44、ALDH1A1などのがん幹細胞マーカー分子が高発現していることが確認された。さらに、高転移能をもつ細胞で高発現している分子で治療標的になりうるものとして、一群の解糖系関連酵素が同定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
腹水中の腹膜播種促進因子をサイトカインアレイ解析により同定することを目指していたが、まだ計画段階であり遂行できていない。しかし、卵巣がんスフェロイド細胞の追加樹立に成功し、それらの細胞を利用し高腹膜転移性スフェロイド細胞に高発現する分子をトランスクリプトーム解析より同定することができたため、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
高転移能をもつ細胞で高発現している分子で治療標的になりうるものとして、一群の解糖系関連酵素が同定された。候補分子の阻害剤投与、CRISPR-Cas9システムによるノックアウト等を行い、in vitro,in vivoでの機能解析をすすめる。また、当初の計画であった腹水のサイトカインアレイ解析を遂行し、腹水中の腹膜播種促進因子も同定を試みる。臨床的な意義を検討するため、臨床組織スライドを用いて候補分子の免疫組織染色を行い、カプランマイヤー法による予後解析を行う。以上の結果をまとめ、学会発表、国際科学誌への掲載を目指す。
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Causes of Carryover |
サイトカイアレイ等の前年度で計画していた実験が遂行できなかった。また,英語論文の校正費、投稿費用は今年度末までに投稿準備が完了しなかったため,計上しなかった。外国旅費についても発表機会がなかったため計上しなかった。次年度は計画している機能解析実験のための費用、解析用のソフト購入、論文校正・投稿費用等に使用する予定である。
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