2018 Fiscal Year Research-status Report
Effect of maternal molecular hydrogen administration for fetal damage of preterm birth
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18K16796
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中野 知子 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (90754953)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 早産 / 分子状水素 / 炎症 / ミクログリア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、炎症性早産における胎児脳障害を予防するために、抗酸化作用と抗炎症作用を持つ分子状水素の有用性の証明とメカニズムの解明とともに、安全性の確認を行い、臨床応用を目指すことを目的としている。 本年度は、まず、分子状水素の臨床応用に先立ち、妊婦・胎児の安全性を動物モデルで確認することを計画した。 まず催奇形性を確認する方法として、マウスの器官形成期である胎齢6.5日目から15.5日目の間のみ水素水母獣投与する群(n=41)と、通常水母獣投与群(n=32)にて、出生仔の外表奇形の有無について比較検討したが、両群とも明らかな外表奇形を伴う仔を認めなかった。(両群ともに奇形率0.0%) 次に新生仔の発育障害を確認する方法として妊娠初期から通常水または水素水長期母獣投与させ、日齢70日目までの新生仔の発育を通常水群と水素水群で比較検討した。また出生仔の発育に関しては、出生後から日齢17までの通常群(n=79)と水素水群(n=55)では、日齢4、7、11で通常水群より水素水群で有意差を持って重量が大きかった。また離乳後の日齢21からは雄雌に分けて通常水群と水素水群で比較をしたところ、雌では両群に有意な差を認めなかった。雄では日齢21、56では水素水群で有意差を持って重量が大きかったが(それぞれp=0.025、0.033)、日齢28、35、42、49、63、70では両群の差を認めなかった。なお、通常水群と水素水群で母獣の体重変化も比較検討したが、母獣の体重変化に2群の間に有意差は認められなかった。 以上から、水素水母獣投与において、胎仔への明らかな催奇形性や発育障害を認めないことを証明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当教室でも実験に使用してきたリポポリサッカライド(LPS)を母獣腹腔内投与するMIA(maternal immune activation)モデルマウスにて引き起こされる胎仔脳障害の原因の一つに、ミクログリアが関与しているという既報告ある。本年度中にMIAモデルマウスの母獣から生まれた胎仔脳でミクログリアの活性化を認めるかどうかを再現したかったが、リポポリサッカライドの投与した母獣から出生した胎仔脳において、ミクログリアの免疫染色では明らかな活性化を認めることが出来なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
母獣LPS投与で胎仔脳のミクログリアを活性化させるかの確認を、種々の実験方法で検索中。さらにミクログリアの活性化を水素水母獣投与で抑制することができるかを確認し、分子状水素のメカニズムを解明する。
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