2018 Fiscal Year Research-status Report
血管新生因子に着目した卵巣癌のベバシズマブ耐性機序とPAI-1阻害の有効性の検討
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18K16798
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中塚 えりか 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (00816514)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 卵巣癌 / 血管新生 / ベバシズマブ / PAI-1 / マイクロRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
卵巣癌において血管新生は極めて重要である。しかしながら、血管新生因子VEGF に対する抗体であるベバシズマブ (BEV) の臨床への導入にも関わらず、いまだ抜本的な生存率の改善を認めていない。本研究の目的は、卵巣癌におけるBEV 耐性化のメカニズムを解明することである。2018年度はその原因をmicroRNA(miRNA) に焦点をあてて解析することにした。 具体的には、C57BL/6マウスにマウスの卵巣癌細胞株ID8にルシフェラーゼで標識したID8-LUC2細胞2×10^6個を200mlのPBSに溶解し腹腔内投与を行った。投与2週間後からcontrol IgG 5mg/kgおよびBEvil 5mg/kgをそれぞれ週に2回計6週間腹腔内投与を行った。腫瘍の発育を評価するために1週毎にルシフェリン150㎎/kgを腹腔内投与し約15分後にIVISで測定した。6週間投与後、それぞれのマウスを安楽死させた後に腫瘍を摘出しその腫瘍からTRIzolを用いてRNAを抽出し、3D-GeneマイクロRNAチップを用いてmiRNA microarrayを行い、BEV投与により発現が変動するmiRNA の網羅的解析を行った結果、BEV投与により、卵巣癌腫瘍内でmiR-7, miR-195, miR‐497などの発現が有意に低下していることを見出した。以上BEV 耐性化に関与しうる候補 miRNA を抽出することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
BEVに対する耐性化を検討することは動物実験以外不可能である。そのため、本研究ではマウスの卵巣癌細胞株ID-8 にルシフェラーゼを安定発現させたID8-LUC2細胞を用いたが、その導入手続きにやや時間を要した。そのため、当初の研究計画よりやや進捗が遅れている。ただし、動物実験は遂行されBEV の継続投与を行い、BEV耐性化を起こした卵巣腫瘍組織を摘出し、解析することができた。今後は、研究のSpeed Up を図り、BEV抵抗性に関わる分子を特定し、臨床検体でのValidation を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
上述した通り、卵巣癌モデルマウスにBEVを持続投与することにより、BEV耐性化腫瘍マウスを作成した。それより腫瘍を摘出しmiRNA microarrayを行い、、BEV投与により、卵巣癌腫瘍内でmiR-7, miR-195, miR‐497などの発現が有意に低下していることを見出した。2019年度はこれらのmiRNAがPlGF やPAI-1 などのVEGF 以外の血管新生因子の発現を制御していないかの検討を行う。具体的には腫瘍組織におけるこれらの血管新生因子の発現をReal time RT-PCR 法および免疫組織染色を行う。さらにこれらの候補miRNA を卵巣癌細胞に遺伝子導入することにより前述の血管新生因子の発現が変動するかの検討を行う。一連の検討を経て候補分子が確定すれば、実際の臨床でBEVに対して抵抗性を示した卵巣癌検体を用いて免疫組織染色によるValidation を行う。以上の検討を通じて、卵巣癌におけるBEV抵抗性のメカニズムを明らかにする。
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