2020 Fiscal Year Research-status Report
性差を考慮した女性特有のサルコペニアの発症メカニズムの解明と治療応用
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18K16804
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
北島 百合子 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (40380901)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 骨格筋 / エストロゲン受容体β / 糖代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、エストロゲン欠乏に伴う女性特有の筋萎縮に関してエストロゲン受容体βの作用に着目し、そのメカニズムを解明することを目的とした。ERβ- floxed マウスとドキシサイクリン依存的かつ筋線維特異的にCreリコンビナーゼを発現制御できるHSA-rtTA/TRE-Creマウスの交配によって骨格筋特異的ERβ欠損 マウス(mKO群)を作出した。このERβ-floxedマウスをコントロール群(CON群)とし両群を比較した。我々は、これまでに6週令の若年期に筋線維特異的にERβをノック アウトを誘導し、CON群と比較してきた。CON群と比較してmKO群は雌のみ顕著な筋力低下を示した。筋重量は、雌マウス のTAで有意な筋重量低下がみられた。TA を採取しLamininによる筋横断面の免疫組織化学染色を行ったところ、mKO群において筋横断面積の顕著な低下がみられた。若齢期にみられたERβ欠損マウスの筋力低下や速筋特異的な筋重量低下は、性成熟したマウスではみられず、ERβは若齢期における筋力および速筋重量の維持に重要であることが示唆された。さらに、骨格筋におけるERβが糖代謝に影響するかを検討するため、6週令にERβをノックアウトしたmKO群とCON群に高脂肪食を与え糖負荷試験を行ったが、mKO群とCON群の両群に有意差は認めなかった。現在、生後すぐにERβをノックアウトした場合の糖代謝の影響を見る研究を継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は、エストロゲン欠乏に伴う女性特有の筋萎縮に関してエストロゲン受容体βの作用に着目し、そのメカニズムを解明することを目的としているため、ま ずは、ERβ-floxed マウスとドキシサイクリン依存的かつ筋線維特異的にCreリコンビナーゼを発現制御できるHSA-rtTA/TRE-Creマウスの交配によって骨格筋特 異的ERβ欠損マウス(mKO群)を作出する必要があった。マウス作製は順調に行われているが、6週令における骨格筋特異的ERβ欠損マウスを用いて糖負荷試験を 行ったところ、更に若い週数での検討が必要だと考えられた。現在、昨年に引き続き、生後すぐに骨格筋特異的にERβを欠損させたマウスを作成し検討を行っており、マウス作製と脂肪食摂取・糖負荷試験を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに6週令における骨格筋特異的ERβ欠損マウス(mKO群)を用いて糖負荷試験を行ったところ、mKO群とCON群には有意差を認めなかった。更に若い週数で の検討を行うと新しい知見が得られると考え、昨年に引き続き、生後すぐにおけるエストロゲン受容体βの糖代謝に与える影響を検討する。 今後は継続してマウスを作製し解析を続ける。まず、mKO群・CON群のそれぞれを高脂肪食を摂取させる群と通常食を摂取させる群にわけ、経時的に糖負荷試験を行って糖代謝について検討する。また、前脛骨筋・腓腹筋を摘出し、糖代謝に関わる遺伝子発現を検討していく。
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Causes of Carryover |
マウス作製、実験遂行に遅れが出たため、次年度使用額が発生した。 次年度使用額は、マウスを作製し、ジェノタイピングでの確認、ドキシサイクリンを用いたERβ遺伝子の欠損、高脂肪食・通常食を与え経時的に糖負荷試験を行うために使用する。また、骨格筋を摘出し遺伝子発現を確認する。
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Research Products
(1 results)