2018 Fiscal Year Research-status Report
子宮内膜症における制御性T細胞による免疫制御機構と病因病態への関与の解明
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18K16808
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
田中 佑輝子 京都府立医科大学, 医学部附属病院, 専攻医 (50806297)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 子宮内膜症 / 免疫 / 制御性T細胞 / 炎症性サイトカイン / 子宮内膜症モデルマウス / Foxp3/DTRマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
子宮内膜症の進展には腹腔内の免疫学的局所環境が関与していると考えられているが詳細はわかっていない。制御性T細胞(Treg)は免疫応答を抑制するT細胞として知られている。研究代表者は、ヒトにおいてFoxp3とCD45RAで分画されるactivated Tregこそが真の免疫能を有するという概念に基づき、子宮内膜症におけるその役割を解析したところ、病巣局所ではactivated Tregが減少していることを見出した(業績#1, JCEM 2017)。本研究ではTregによる免疫異常が子宮内膜症に及ぼす影響を検証することで、本疾患の免疫学的病態機序を明らかにすることを目的とした。 Tregを一時的に減少させることができるFoxp3/DTRマウスを用いて子宮内膜症モデルマウスを作成した。Tregが正常であるコントロールマウスでも子宮内膜症モデルマウスを作成した。Foxp3/DTRマウスにジフテリアトキシンを投与することで、実際にTregが減少していることをフローサイトメトリーを用いて確認した。Tregを減少させたマウスではコントロールと比較し、子宮内膜症病変の病巣数が増加していた。子宮内膜症性病変の免疫染色を行ったところ、増殖能の指標となるKi-67の染色が増強していた。子宮内膜症が悪化していた原因として、Tregが減少しエフェクターT細胞などの免疫細胞が活性化し、炎症性サイトカインの産生が増加したためではないかと推測される。今後、エフェクターT細胞などの免疫細胞や炎症性サイトカインについて、すでに採取してある検体を用いて解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたFoxp3/DTRマウスで子宮内膜症モデルマウスを作成することは問題なく完遂した。ジフテリアトキシンの投与により予定通りFoxp3/DTRマウスではTregが減少していることも確認している。Tregを減少させたFoxp3/DTR/DTマウスでは子宮内膜症の病巣が増加していることが確認された。その際に採取した血液・腹水・病巣などの検体をもちいて今後さらに詳細に検討を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
Tregを減少させた子宮内膜症モデルマウスでは病巣数・病巣の重量がコントロールと比較し増加していることが確認できたので、今後は採取した病変での免疫細胞の変化を免疫染色を用いて解析し、またリアルタイムPCRを用いて炎症性サイトカインの変化を検討する予定である。また、すでに採取した血液・腹水を用いてELISAを行い、IL-8, IL-6などの炎症性サイトカインの測定を行う予定である。
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Causes of Carryover |
31年1月に出産し、30年12月~31年3月まで産休・育休を取得していたため、その期間物品の購入を行わなかったため。また、採取した検体を検討するために今年度に使用額が増加する見込みである。
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Research Products
(1 results)