2018 Fiscal Year Research-status Report
胎盤形成不全における小胞体シャペロン-カルレティキュリンの発現と病態意義の解明
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18K16809
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
山本 円 和歌山県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (70596973)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | シャペロン / カルレティキュリン / 小胞体 / 胎盤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、胎盤形成とカルレティキュリン(CRT)の関連について解明することを目的としている。胎盤絨毛形成の過程において、細胞性栄養膜細胞 (Cytotrophoblast; CTB)から合胞体栄養膜細胞(Syncytiotrophoblast; STB)への細胞融合・多核化(シンシチウム化)が非常に重要な役割を果たす。本年度はCRTがシンシチウム化に果たす機能的役割について検討した。 ヒト絨毛癌細胞株であるBeWo細胞にヒトCRT-shRNA発現ベクターを導入し、CRT低発現細胞株を作製した。BeWo細胞においてCRT発現抑制はforskolin誘導性のシンシチウム化能およびβ-hCG分泌能を低下させた。CRT低発現細胞において、Western blotting法ではE-カドヘリンの発現が低下しており、免疫蛍光染色およびショ糖密度勾配遠心法ではE-カドヘリンの細胞表面の発現低下およびゴルジ複合体への集積を認めた。またCRT低発現細胞において細胞表面のE-カドヘリン依存性の細胞間接着能が低下していた。Bewo細胞においてCRT発現抑制によりシンチチウム化能を低下させた。CRTは糖タンパク質の品質管理に関わる分子シャペロンであり、E-カドヘリンの合成および輸送への関与を介してBeWo細胞のシンシチウム化能を調節していると推察された。以上よりCRTが妊娠初期胎盤形成におけるシンチチウム化に促進的な役割を果たしていると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のように、本研究テーマで申請を行った当初の計画通りに順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は概ね予定研究計画通り遂行できた。さらに、胎盤絨毛細胞におけるCRT産生に関する生化学的解析を遂行する予定である。様々な細胞ストレスのCRT産生あるいは細胞外分泌への影響について検討する。妊娠高血圧腎症で問題とされる、酸化ストレスや小胞体ストレス、血清除去ストレス、低酸素環境などの細胞ストレスが、CRT産生へ与える影響について解析を行う。またインフォームドコンセントの下に得られたヒト胎盤組織を用いて、CRTや種々の分子シャペロンおよび細胞接着分子の発現量などについて病理学的・免疫組織学的評価を行い、臨床的特徴との関連を検討する。
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Research Products
(5 results)