2019 Fiscal Year Research-status Report
胎盤形成不全における小胞体シャペロン-カルレティキュリンの発現と病態意義の解明
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18K16809
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
山本 円 和歌山県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (70596973)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 分子シャペロン / カルレティキュリン / 小胞体 / 胎盤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、胎盤形成とカルレティキュリン(CRT)の関連について解明することを目的としている。胎盤絨毛形成の過程において、細胞性栄養膜細胞(Cytotrophoblast; CTB)から合胞体栄養膜細胞(Syncytiotrophoblast; STB)への細胞融合・多核化(シンシチウム化)が非常に重要な役割を果たす。平成30年度はCRTがシンシチウム化に果たす機能的役割について検討した。ヒト絨毛癌細胞株であるBeWo細胞にヒトCRT-shRNA発現ベクターを導入し、CRT低発現細胞株を作製した。BeWo細胞において、CRT発現抑制により細胞表面のE-カドヘリン依存性の細胞間接着能が低下し、シンシチウム化能が低下することがわかった。以上よりCRTが妊娠初期胎盤形成におけるシンシチウム化に促進的な役割を果たしていると考えられた。 平成31年度はインフォームドコンセントの下に得られたヒト胎盤や血清を用いてCRTの発現について評価を行った。また妊娠高血圧腎症(PE)で問題とされる小胞体ストレスがCRT産生へ与える影響について解析を行った。ヒト胎盤組織で栄養膜細胞にCRTが強発現していることを確認した。また妊娠女性の血中CRT濃度は非妊時女性より高く、またPEの女性で高かった。BeWo細胞に小胞体ストレスを負荷したところ培養上清中CRTが上昇し、CRTが細胞外に放出されていることがわかった。またBeWo細胞において小胞体ストレスによりE-cadherin発現が減少し、forskolin誘導性のシンシチウム化能およびβ-hCG分泌能が低下した。CRT含有培養上清添加で同様の現象が惹起されたことより、細胞外CRTが胎盤形成不全に影響する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、上記のように、ヒト胎盤や血清を用いてCRTの発現について評価を行い、胎盤絨毛細胞におけるCRT産生に関する生化学的解析を行った。本研究テーマで申請を行った当初の計画通りに順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は概ね予定研究計画通り遂行できた。令和2年度は、平成30-31年度に収集した実験結果をまとめる作業を行うとともに、不足部分の追加実験を進める方針である。胎盤絨毛細胞を用い、小胞体ストレス以外の細胞ストレス(酸化ストレスや低酸素環境など)がCRT産生へ与える影響についても解析を行う。胎盤形成とカルレティキュリン(CRT)の関連についてさらなる解明を進めていく。
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Causes of Carryover |
(理由) 平成31年度の研究は順調に行うことができた。主に既存の試薬を用いた実験を行ったため、想定より消耗品の費用が抑えられ、余剰金が発生したと考える。 (使用計画) 令和2年度は追加実験を進めるにあたり、各種実験に使用する消耗品の費用にあてる。また研究成果を報告すべく、論文投稿費や学会出張費にあてるのが適切と考える。
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Research Products
(3 results)