2018 Fiscal Year Research-status Report
molecular and epidemiological analysis for new carcinogenesis mechanism in hereditary gynecological cancer
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18K16812
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
辻 浩介 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (70528166)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 卵巣癌 / 子宮内膜癌 / Lynch症候群 / 重複癌 / 腫瘍ゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、遺伝性婦人科悪性腫瘍としての子宮体癌、卵巣癌における、遺伝子変異 高リスク群の抽出方法の開発、その臨床的病理学的特徴の解明、遺伝子変異およびエピゲノム異常による発癌機構の解明およびそれに伴う新たな治療戦略の構築である。まず、卵巣癌におけるLynch症候群の関連性やその臨床病理学的に検討するため、卵巣癌患者104名を対象とし、家族歴からLynch症候群のハイリスク群の拾い上げを試みた。従来のアムステルダム基準やベセスダ基準は卵巣癌の拾い上げに有用でないため、Society of Gynecologic Oncologyの基準に着目し、ハイリスク症例を抽出した。その症例に対してMSI検査、免疫組織化学によるMMRタンパク発現の確認、MMR遺伝子のプロモーター領域のメチル化の確認を行い、異常を示す症例は遺伝カウンセリングの後、遺伝学的検査を行った。卵巣癌患者104名のうち、25名がSGOの基準に該当し、そのうち4名がMSI-Hを示し、かつMMRタンパク発現低下を認めた。うち3名がMMR遺伝子のメチル化を認めず、MMR遺伝子の生殖細胞系列変異を有していると予測された(MLH1遺伝子変異疑い1名、MSH2遺伝子変異疑い2名)。実際その内の1人(卵巣癌、子宮体癌重複癌症例)が遺伝学的検査を行い、MSH2遺伝子変異を有するLynch症候群の確定診断に至った。 次に、卵巣癌、子宮体癌の重複症例に注目し、症例を集積している。今後、遺伝学的背景と卵巣癌、子宮体癌の重複癌との関連、卵巣癌と子宮体癌での腫瘍ゲノムの比較等を行い、遺伝性婦人科悪性腫瘍に対する分子疫学的解析を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
卵巣癌におけるLynch症候群ハイリスク例の拾い上げ(スクリーニング)、およびMSI、MMRタンパクの発現について検討し、その内で実際に遺伝学的検査からLynch症候群の確定診断に至った症例を見出した。このスクリーニング方法や確定症例はそれぞれ論文報告している。またこの検討から、卵巣癌、子宮体癌の重複癌とLynch症候群との相関性に着目している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、卵巣癌と子宮体癌の重複癌に着目し、遺伝学的にLynch、non-Lynchが確定した症例で、卵巣癌、子宮体癌の腫瘍ゲノムを解析し、それぞれの癌におけるTumor mutation burden, 変異遺伝子の差異、PD-L1などのimmune profileを比較し、遺伝学的背景の有無による腫瘍発生過程の違いがあるかどうか検討していく。また、そこで見出した違いなどを、Lynch症候群から生じた、卵巣癌単独、子宮体癌単独の症例などでも追加検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
未使用額の発生は効率的な物品調達を行なった結果である。 次年度は、次世代シークエンサーによる腫瘍ゲノムの解析および免疫組織化学による腫瘍免疫の解析を行う予定であり、効率的な解析方法を選択して研究を推進していく予定である。
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Research Products
(2 results)