2019 Fiscal Year Research-status Report
反復性膣カンジダ症に対する新たな治療戦略の可能性の検討
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18K16815
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
羽山 和美 帝京大学, 付置研究所, 助教 (50548352)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Candida albicans / プロタミン分解物 / ヒノキチオール |
Outline of Annual Research Achievements |
再発性膣カンジダ症の新たな治療戦略として、2018年度では、DLD1細胞とC. albicansを共培養した実験系で、植物由来成分の一つが、DLD1細胞の損傷をほとんど起こさずに、C. albicansの菌糸形発育を抑制することを報告した。しかしながら、C. albicansに対する発育阻止効果はあまり強くなく、2019年度は、より効果を示す物質の探索を行った。その中で、C. albicansの菌糸形発育を強く抑制するプロタミン分解物と、抗炎症効果を示すテルペノイド物質に着目した。プロタミン分解物は、既にC. albicansに対して強い発育抑制効果を示すことが分かっており、食品添加物としても認められているものの、物理学的特性から混在する物質との相互作用が強く、生体内で感染防御能を効率的に発揮させる条件の検討が必要と考えられた。そこで、抗炎症効果を示し、プロタミン分解物と相乗的な発育抑制効果を示すテルペノイドをin vitroにて探索したところ、ヒノキチオールが相乗的にC. albicansの菌糸形発育を抑制することが分かった。それと対応して、マウス口腔カンジダ症モデルで、両者の組み合わせが強い感染防御効果を示すことが分かった。また、プロタミン分解物はC. albicans以外の、再発性膣カンジダ症に関与すると考えられるC. glabrataなどのカンジダ属に対しても発育抑制効果を示すことが分かった。プロタミン分解物は皮膚刺激などの安全性試験もクリアしていることから、膣洗浄剤としての利用が期待できる。本年度は他の天然物質の探索を行うとともに、膣カンジダ症マウスモデルにてそれらが有効性を示すか否かを検討していきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
緊急事態宣言の影響により、動物実験申請、試薬および細胞の発注等が滞っているため。 また週3日勤務となっており、継続した実験スケジュールのめどが立たないため。
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Strategy for Future Research Activity |
膣カンジダ症マウスモデルでのin vivo実験の準備を進める一方で、他の有効性を示す天然物質素材の検討を継続し行っていく方針である。
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Causes of Carryover |
2018年度では、DLD1細胞とC. albicansを共培養した実験系で、DLD1細胞の損傷をほとんど起こさずに、C. albicansの菌糸形発育を抑制する植物由来成分を見出した。しかしながら、これらはC. albicansに対する発育阻止効果が弱く、in vivo試験で有効性を示すことは難しいと判断し、2019年度もin vitro試験での探索を継続した。本年度、マウス実験に向けて準備を行い、in vivo試験を行いたいと考えている。そのための資金として次年度使用額が生じた。
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