2018 Fiscal Year Research-status Report
デジタルPCRを用いた頭頸部がん血中循環腫瘍DNAの解析と新規バイオマーカー確立
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18K16833
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
明石 健 東京大学, 医学部附属病院, 登録研究員 (90779331)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 血中循環腫瘍DNA / ctDNA / デジタルPCR / 頭頸部がん |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、従来の方法と比べて非常に高感度かつ再現性高く遺伝子変異や増幅を検出することが可能なデジタルPCRを用いて血中循環腫瘍DNA(ctDNA)の解析を行い、頭頸部がんの新規バイオマーカー、特にこれまで実用化されていない「治療効果判定」および「再発予測」のバイオマーカー確立を目的としている。 頭頸部がんの中でも腫瘍組織由来のDNA中にウイルス由来DNAが検出されることが明らかとなっているEBウイルス(EBV)関連上咽頭がんならびにヒトパピローマウイルス(HPV)関連中咽頭がんをまずは対象として症例の集積を進めており、平成30年度までにEBV関連上咽頭がん症例が4例、HPV関連中咽頭がん症例が25例が集積された。初回治療開始前の時点では、EBV関連上咽頭がんでは4例中3例(75%)において、HPV関連中咽頭がんでは25例中14例(56%)においてctDNAを検出可能であった。現在、治療開始前にctDNAを検出することができた17例について解析をすすめており、EBV関連上咽頭がんでは3例中2例(67%)で、HPV関連中咽頭がんでは14例中14例(100%)の症例において、初回治療終了時にctDNAが検出されなくなっており、病勢との関連があることが明らかになり、バイオマーカーとして有用であることが期待される結果となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
過去の論文から、初回治療開始前のctDNA検出率が90%程度と予想していたが、実際には29例中17例と約60%程度にとどまったため、ctDNAが検出された症例数が想定よりも少なくなっている。血液採取から血漿抽出までの時間や保存状態の影響の可能性が高いと考えられ、血液保存体制の見直しが必要となり、EBV関連上咽頭がん、HPV関連中咽頭がん以外の症例の集積を開始できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
EBV関連上咽頭がん、HPV関連中咽頭がんについて引き続き症例集積を進めていく。初回治療開始前にctDNAを検出することができた症例においていは、初回治療中のいくつかの時間点でのctDNAの量の推移を解析していく。また、初回治療終了後に再発を認めた症例でのctDNAの検出の有無についても解析を進めていく。 ctDNAの検出率を高めるように血液血漿保存の条件検討を見直していく。具体的には、血液採取後にすみやかに血漿抽出を行うことができる体制の整備、ctDNAを分解しにくい採血管の採用を検討している。
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Causes of Carryover |
HBV関連上咽頭がんおよびHPV関連中咽頭がん以外の症例についての症例集積および解析が開始できていないため、本年度は執行額が少なくなった。次年度、これらの症例の集積、解析を開始することにより必要な物品等が増えること、血液血漿保存の体制の見直しが必要となっており採血管の導入などにも費用がかかることから、次年度これらに使用する。
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Research Products
(1 results)