2019 Fiscal Year Research-status Report
内耳におけるDIAPH1の生理的機能の解明およびDFNA1治療薬の開発
Project/Area Number |
18K16851
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
二之湯 弦 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70814573)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 新規DFNA1変異 / 頂側面結合 / 聴毛 / リボンシナプス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は内耳におけるDIAPH分子種の局在を詳細に検討し、どのような生理的機能を果たすのかを解明することで、将来的な治療薬開発につなげることを目的とする。我々は過去の報告で、遺伝性難聴の一つであるDFNA1は、DIA1が恒常的活性型変異になることにより引き起こされることを明らかにし、さらに疾患マウスモデル(DIA1-TG)の作製に成功した(Ueyama et al, 2016)。このマウスモデルに加え、蛍光標識した変異型DIA1を安定発現する新たなモデルマウス(DIA1-KI)を作成し、変異型DIA1が有毛細胞頂側面結合だけではなく、聴毛先端部にも局在することを明らかにした。この結果を支持するように、音響暴露後のDIA-TGマウスでは、癒合、脱落あるいは過剰に伸長した聴毛形態異常が観察され、また成熟したDIA1-TGマウスにおいては、有毛細胞頂側面結合に微細な形態異常が存在していた。また野生型およびいずれのモデルマウスにおいても、ラセン神経節細胞にDIA1分子が発現していることが分かったが、頂側面結合に形態異常が起っている時期においても蝸牛神経には明らかな形態異常は認めなかった。よってこれまでの研究成果から、DIA1が恒常的活性型変異体になることで、主に有毛細胞頂側面結合および聴毛においてアクチン骨格の破綻を経時的に引き起こし、これによる潜在的な細胞脆弱性からリボンシナプスの減少や細胞脱落がすすみ進行性感音難聴を呈するという、DFNA1のより詳細な病態メカニズムを明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
あらたなモデルマウスの作製および電子顕微鏡や透過型顕微鏡を用いた微細構造解析に時間を要し、薬剤スクリーニングを行うための細胞モデルの構築が遅れ、当初予定していた薬剤スクリーニングまで進むことができていないため、総合的にやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果をまとめ、論文として投稿中である。並行して薬剤スクリーニングに適した細胞モデルの構築をすすめ、DFNA1治療薬開発の基盤構築を図る。
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Causes of Carryover |
これまでマウス蝸牛における内在DIA1分子の生理的な局在部位および機能の一端を明らかにし、恒常的活性型変異体が同部位でどのような変化をもたらし難聴にいたるかの結果をまとめ、論文投稿にまで至った。しかし終了予定年度までに査読回答および追加実験を終えることが困難であり、またそれに伴い、DFNA1治療薬候補の検索に関する実験系構築が遅れているため、補助事業期間の延長に至った。査読回答に必要な抗体および消耗品の購入、論文投稿費用、薬剤スクリーニングに必要な細胞モデル作成費用などに充てる。
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Research Products
(3 results)