2019 Fiscal Year Research-status Report
microRNAを用いた甲状腺未分化癌における上皮間葉移行リスク診断の試み
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18K16852
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
玉川 俊次 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (40543781)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | microRNA / 上皮間葉移行 / 甲状腺未分化癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は極めて高い浸潤能、転移能を有する甲状腺未分化癌の分子生物学的機序に着目し、癌細胞が浸潤・転移する際のプロセスの一つである上皮間葉移行においてnoncordingRNAであるmicroRNAの役割を明確化し新たなバイオマーカー候補としての役割を検討したものである。中でもmicroRNA200familyの中でもmicroRNA-200bが上皮系マーカーの転写抑制因子(ZEB1、ZEB2)を介して、上皮系マーカーであるE-Cadherin、間葉系マーカーであるVimentinを調節する機序に着目した。 最初に、in vitroで甲状腺正常上皮細胞株、甲状腺未分化癌細胞株を用いて上皮間葉移行関連因子(ZEB1、ZEB2、E-Cadherin、Vimentin)の発現レベルの差を比較し、加えてmicroRNA200familyの発現差についても検討を行った。甲状腺未分化癌細胞株は甲状腺正常濾胞上皮細胞株と比較して上皮系マーカーの発現は極めて低く、逆にVimentinに代表される間葉系マーカーの発現が高い傾向を認めた。同様に、microRNA200family(microRNA200a 200b)に関しては甲状腺未分化癌細胞株においては甲状腺正常濾胞上皮細胞株と比較して発現低下していることが分かった。 さらに甲状腺未分化癌細胞株にmicroRNA200bをトランスフェクションしい上皮間葉移行関連因子の発現への影響を検討した。microRNA200bを甲状腺未分化癌細胞株に再導入することで、上皮間葉移行関連遺伝子の発現は上皮系へと誘導でき、細胞機能においても細胞運動低下を誘導できる可能性が示唆された。 これは甲状腺未分化癌の高い浸潤能、転移能を解明する上で重要な結果と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vitroでの培養細胞を用いた、甲状腺未分化癌における上皮間葉移行関連因子(E-Cadherin Vimentin ZEB1 ZEB2)の検討やmivroRNA200familyの検討については 終了している。またmicroRAN200bの細胞内へのトランスフェクションが細胞株に与える上皮間葉移行関連遺伝子の発現変化についての検討が終了しており、統計学的にも有意差を示すことができた。microRNA200bを細胞内に再導入することで、ZEB1の発現低下を介して間葉系因子であるVimentinの発現低下を誘導することができた。また、細胞機能に関してもwound healing assayを行い細胞運動機能の低下を示した。 現在、今までの実験結果をまとめ英語論文を作成している。
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Strategy for Future Research Activity |
予定していた実験がほぼ終了しているため、英語論文投稿の準備をしている。
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Causes of Carryover |
英語論文作成のため 次年度の使用額が生じている。
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