2021 Fiscal Year Research-status Report
収束イオンビーム走査型電子顕微鏡による外有毛細胞損傷における初期構造変化の解明
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18K16857
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
安齋 崇 順天堂大学, 医学部, 助教 (20624852)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | FIB/SEM / inner ear / subsurface cisternae / outer hair cell |
Outline of Annual Research Achievements |
遺伝性難聴をはじめ、加齢性難聴、騒音性難聴などの感音性難聴は外有毛細胞へのストレス負荷から外有毛細胞の不可逆的な変性をきたす。しかしながら病態における初期の外有毛細胞の機能障害の解剖学的生理学的な解明は進んでいない。本年度は従来2次元でしかとらえられていなかった、外有毛細胞の超微細構造を、収束イオンビーム搭載走査型電子顕微鏡(FIB/SEM)を用いて得られた連続断面画像をもとに3次元構築することによる可視化することを試みた。具体的にはC57BL/6J系マウス約3週齢を用いて、聴性脳幹反応(ABR)を測定し、聴力が正常であることを確認したマウスを正常蝸牛モデルとして使用した。 マウスから取り出した蝸牛をエポン樹脂に包埋したブロックから蝸牛感覚上皮の水平断を作成し、収束イオンビーム搭載走査型電子顕微鏡(FIB/SEM)を用いて外有毛細胞を20nm間隔のFIBによる断面加工を行い、走査型電顕(SEM)を繰り返すことにより外有毛細胞全体の連続画像(約400枚、計8μm厚)を得た。これらのSEMの連続画像からsubsurface cisternaeや細胞膜のデジタル描写によるトレース画像を作成。画像処理ソフトであるAmiraによりグラフィック化し、細胞全体のCSの立体構築及び細胞膜も同様に立体構築し細胞側壁構造全体を立体的に可視化することを試みた。現在はsubsurface cisternaeの立体構造の構築は実現している。現在は画像データの精度を高め、画像データからsubsurface cisternaeの構造を数値化し外有毛細胞に対する初期の障害を経時的に示すことを試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
FIB/SEMの検体作成および数値化を加速する予定であったが、コロナウイルス感染症蔓延により時間が割かれてしまい計画通りに進めることが困難であった。検討検体数が少なく十分な検証ができていない状況にあり、経時的な検討ができていないため、研究進捗状況は遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
外有毛細胞のsubsurface cisternaeの立体構造の構築は実現されている。今後は画像データの精度をさらに高める事、検体数を増やして経時的な変化を捉えることを目指している。研究者本人だけでは検体の作成の推進が遅れる場合には、大学内の研究支援センターの協力を得て、他研究科に依頼したり、外部に発注して検体の作成を進めていくことも検討している。また大学院生を研究協力者としてプロジェクトに協力してもらうことで、研究のスピードを加速させる。
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Causes of Carryover |
コロナ蔓延により国際学会や国内がオンライン開催になったため旅費の使用が減ったことと、検体作成が予定数よりも少なかったこと、データ解析が主であったため物品購入費が少なかった。次年度は検体作成を増やすことで計画通り使用する。
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