2021 Fiscal Year Research-status Report
唾液腺癌に対するホウ素中性子捕捉療法後のゲノム学的変化の解明
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18K16867
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
福本 一郎 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (70748764)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ホウ素中性子捕捉療法 / 耳下腺癌 / 腺様嚢胞癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
唾液腺腺様嚢胞癌は外科手術が第一選択となるが、遠隔転移をきたした症例は化学療法や放射線療法が中心の治療になる。現在分子標的薬を含めた化学療法や放射線療法が検討されているが、有効な治療法が確立されてないのが現状である。ホウ素中性子捕捉療法(Boron Neutron Capture Therapy: BNCT)は癌細胞周囲の正常組織を障害することが少なく、次世代の癌治療として期待されている。その一方で臨床応用した症例も少なく、ホウ素中性子捕捉療法に併用する化学療法や照射抵抗性に関して検討している論文はほとんど散見されない。 総合南東北病院耳鼻咽喉科においてホウ素中性子捕捉療法施行後に腫瘍が再発・残存したため救済手術を行った耳下腺腺様嚢胞癌の症例が複数存在するため、その検体を用いて治療前後でのゲノム学的な変化を解析した。 BNCT治療後には、CTLA4やICOSなどの腫瘍免疫に関する遺伝子が多く発現が増加していた。また、発現が最も上昇しているpathwayはallograft rejectionという腫瘍免疫に関わるpathwayでこの中にはCTLA4も含まれた。通常の放射線治療と同様に、BNCT照射により腫瘍の抗原性が増加し、CTLA4やICOSを発現したリンパ球が腫瘍周囲に浸潤している可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ホウ素中性子捕捉療法後に残存し救済手術を行った腺様嚢胞癌患者のBNCT前後の検体を用いて網羅的な解析を行い、ゲノム学的変化から照射抵抗や再発のメカニズム・新規治療法を検討した。その結果、BNCTに対する治療抵抗性には腫瘍免疫学的な機序が関係している可能性が示唆された。 これらの結果や過去の報告をもとに現在論文を作成中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまでの結果を踏まえて、様々な過去の論文などを参考にしながらdiscussionを深めていき、学会発表や論文作成を行っていく。今後は学会参加費や英文校正、論文掲載料などに研究費を使用する予定である。
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Causes of Carryover |
これまでのデータを用いて、学会発表や論文作成を行っていく予定である。学会参加費や英文校正、論文掲載料に研究費を使用する予定である。
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