2018 Fiscal Year Research-status Report
頭頸部癌微小環境における糖代謝と免疫マーカー発現の関連性の検討
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18K16870
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
菊地 正弘 京都大学, 医学研究科, 助教 (90443564)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 口腔癌 / PD-L1 / CD8+細胞 / FDG PET / テキスチャ解析 / MTV / correlation / 腫瘍内免疫マーカーの発現予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
術前に組織生検とFDG-PET/CT検査を行い、根治的手術を行った口腔扁平上皮癌56例の手術検体のホルマリン固定パラフィン包埋組織標本を用いて免疫染色を行い、最大切片における腫瘍細胞のPD-L1発現率、ならびに400倍強拡大視野におけるPD-L1陽性リンパ球数、CD68+細胞数、CD8+細胞数、Perforin-1+細胞数、CD4+細胞数、CD3+細胞数を算出した。 また、術前FDG-PET/CTの特徴量をLIFExを用いて解析し、原発腫瘍のSUVmax,metabolic tumor volume (MTV)、テキスチャ解析としてgray-level co-occurrence matrix(GLCM)によるhomogeneity, energy, contrast, correlation, entropy, dissimilarityを算出した。 PD-L1発現の有無ならびに免疫細胞浸潤の多い群・少ない群の二群間でPET特徴量を比較した結果、PD-L1陽性群は陰性群に比べ有意にMTV、GLCM-correlationが低く(P=0.009,P=0.001)、CD8+細胞が多い群は少ない群に比べ有意にMTV、GLCM-correlationが低かった(P=0.01,P=0.02) 。代謝腫瘍体積が少なく、糖代謝が不均一な腫瘍はPD-L1発現が高く、CD8+細胞浸潤量が多い結果であり、PET検査の特徴量で腫瘍内免疫マーカーの発現予測が可能であった。腫瘍内でのPD-L1発現は不均一であり、1回きりの小さな生検検体では腫瘍微小環境におけるPD-L1発現評価は困難とされているが、FDG-PET/CTを用いることにより、腫瘍全体におけるPD-L1をはじめとした免疫マーカーの発現診断が可能であり、生命予後予測や抗PD-1薬の新たなバイオマーカーになる可能性があると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点で後ろ向き症例の口腔癌56例の解析が終了した。また、現在前向きにも症例を集積中で、すでに30例が登録済み・解析中である。今後、咽頭癌・喉頭癌の後ろ向き解析を予定しており、このペースで研究を進めれば、2019年度終了時点で100例を超える症例数での解析が見込まれ、現時点での研究の進捗状況は順調であると考えている。また、上記研究成果はすでに第29回日本頭頸部外科学会で発表後であり、今後2019年度の欧州核医学学会ならびに第7回国際口腔腫瘍学会世界会議で海外発表予定で、論文作成も開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で、口腔癌のPD-L1発現、CD8+細胞浸潤量予測が可能なFDG-PET/CT検査の特徴量がMTVとCorrelationであることが判ったので、今後はそれらの特徴量を用いたPET解析により、生命予後予測が可能か、又、抗PD-1薬の治療効果予測が可能かにつき解析する。さらに、口腔癌だけでなく、他部位の頭頸部癌(咽頭癌、喉頭癌)についても同様の解析を行う。
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