2019 Fiscal Year Research-status Report
好酸球性副鼻腔炎におけるSIRT1によるサイトカイン発現制御機序の解明
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18K16871
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 正宣 北海道大学, 医学研究院, 助教 (70455658)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 耳鼻咽喉科学 / アレルギー学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度に樹立した実験系を用いて、ヒト初代継代鼻粘膜上皮細胞(primary human nasal epithelial cells)におけるサイトカイン産生に、Toll-like receptor (TLR)3のアゴニストとして知られるPoly(I:C)が与える影響を検討した。数~数十マイクロリットル程度の微量のサンプルから一度に数十種類の遺伝子発現を評価できるmicrofluidic qPCR法を用いて、鼻粘膜上皮細胞から採取した微量検体を用いて、各サイトカインのメッセンジャーRNAを評価した。複数のPoly(I:C)の濃度、刺激時間を検討し、実験系の最適化を行うことができた。 その結果、Poly(I:C)刺激によって、鼻粘膜上皮細胞ではインターロイキン6(IL-6)を初めとする複数のサイトカインや増殖因子などの産生・分泌が亢進することが判明した。しかし、中には逆に抑制されるサイトカインなども存在し、その機序の違いについて検討が必要と考えられた。 また、Poly(I:C)刺激によるサイトカイン産生には、通常考えられていたよりも長時間の刺激が必要であることが示唆された。その一方、ある一定濃度を越えると、Poly(I:C)濃度とサイトカイン産生のリニアな相関が保たれなくなることも判明した。 さらに他のTLRアゴニストではPoly(I:C)ほどのサイトカイン産生亢進が見られないことや、このサイトカイン産生亢進はPoly(I:C)の長さや分子量には依存しないことも判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験系を最適化し確立させたことができた。予想されていた結果を得ることもできている。MMP9のみならず多数のサイトカインがPoly(I:C)によって誘導されるということは、SIRT1でも制御されうることを示唆している。Poly(I:C)はTLR3を介してNFkBを活性化させる事が知られており、このPoly(I:C)やSIRT1によるサイトカイン産生制御機構は鼻粘膜上皮細胞における普遍的な機構である可能性がある。このようにこれまでのところ臨床病態解明や新規治療法の開発に直結しうる結果を得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、タンパク質レベルで同様の事象が存在しうるかをmultiplex Assayで検討する。また、SIRT1活性剤、阻害剤によるサイトカイン産生への影響を検討する予定である。またTLR3と相同性のあるRIG-Iについても同様の検討を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で国内学会が1件延期となり、そのための旅費・参加費が使用されなかったため。 次年度はヨーロッパ鼻科学会(ERS/ISIAN)、アジアヨーロッパ耳鼻咽喉科学会(ORLIAC)で研究結果を発表する予定である。
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Research Products
(4 results)