2020 Fiscal Year Annual Research Report
Diagnosis and treatment for superior canal dehiscence syndrome
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18K16872
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
池田 怜吉 東北大学, 大学病院, 講師 (30645742)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 上半規管裂隙症候群 / 内耳 / 耳管開放症 |
Outline of Annual Research Achievements |
上半規管裂隙症候群(Superior canal dehiscence syndrome, SCDS)の患者に対する、水中内視鏡下半規管充填術における術後聴力変化並びに、上半規管裂隙症候群の臨床症状(耳症状、平衡症状)の改善の程度について後ろ向き調査を行った。 2017-2019年に手術を行った7症例を対象に、純音聴力検査を含む診療録を後ろ向きに調査した。治療効果を症状の消失、軽減、不変に分け問診により調査した。術後早期の聴力検査の日程はコントロールされていなかったが、頻回な聴力検査により術後およそ7-10日目にピークを迎える一過性骨導閾値上昇が見られた。さらに一か月以上の長期経過では、聴力閾値はほぼ術前と同程度まで回復していることが確認できた。また、術後の臨床症状については、全例において、一定の改善が認められた。これまで過去に、中頭蓋窩法によるpluggingで術後7-10日目の平均骨導聴力 (500-1000-2000-4000 Hz) を評価した報告では、10 dB以上の一過性閾値上昇が見られたのは53% (23/43例)であった (Ward. 2012)。本術式による一過性骨導閾値上昇の原因として、膜迷路切断 (部分的上半規管切除) や術後の外リンパ漏出といった影響がある可能性が示唆された。その一過性骨導閾値上昇に対する詳細なメカニズムの解明が、今後取り組むべき課題のひとつであると考えられた。
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