2018 Fiscal Year Research-status Report
自己幹細胞誘導因子を用いた新しい顔面神経麻痺再生治療法の開発
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18K16873
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
杉山 元康 山形大学, 医学部, 医員 (60637255)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 顔面神経麻痺 / 再生医療 / 自己幹細胞誘導因子 / HMGB-1 / bFGF / IGF-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
末梢性顔面神経高度麻痺例に対して、ステロイド大量投与療法や、抗ウイルス薬投与が一般的に行われているが、全例が治癒するわけではなく、新たな治療法の開発が求められている。再生医学の基礎研究の報告が散見されるが、ほとんどの研究で用いられている動物顔面神経麻痺モデルは、側頭骨外の末梢で神経をクランプもしくは切断して作製されており、これは側頭骨内で顔面神経の絞扼が起こる実臨床の顔面神経麻痺の病態を反映しているとは言いがたい。 本研究ではモルモットを用いて、より実臨床での顔面神経麻痺の病態に近い、側頭骨内顔面神経絞扼モデルを作製した。このモデルに対して、自己幹細胞誘導因子であるHMGB-1(high mobility group box protein1)を導入することで、HMGB-1の顔面神経損傷の回復機能を、運動評価、電気生理学的評価、組織学的評価の三項目を用いて評価している。運動評価は、閉眼の様子をビデオ撮影することで施行している。電気生理学的評価は誘発筋電図を用いて、組織学的評価は免疫染色を用いて行っている。また、HMGB-1の他にもbFGF(basic fibroblast growth factor)、IGF-1(Insulin-like growth factor 1)、HGF(hepatocyte growth factor)、NGF(nerve growth factor)、NT-3(Neurotrophin-3)などの神経再生因子を導入し、その神経回復を比較検証している。 現在のところ、HMGB-1投与群において、コントロール群と比べて回復傾向は認めるものの、有意差は認めていない。引き続き、HNGB-1の投与量などを変更して検討を続けるとともに、他の因子に関しても、麻痺回復に有用なものがないかどうか検討を続けていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
側頭骨内顔面神経絞扼モデルの作製、顔面神経麻痺の評価法(運動評価、電気生理学的評価、組織学的評価)については一通り確立することができたと考えている。 現在、顔面神経麻痺の回復に有用な因子をHMGB-1を含め、検討中である。 まだ結論は出ていないが、研究の進捗状況としては、概ね順調であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
側頭骨内顔面神経絞扼モデルの作製、顔面神経麻痺の評価法(運動評価、電気生理学的評価、組織学的評価)については大きな問題がなく、引き続き今の方法で継続予定である。 HMGB-1投与に関しては、投与量などを変更して検討を続けていく予定である。また、HMGB-1の働きに関しては未知の部分も多く、抗HMGB-1薬が顔面神経回復に有効である可能性もあるため、こちらも試してみる。他の因子に関しても、麻痺回復に有用なものがないかどうか検討を続けていく予定である。
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Causes of Carryover |
学会発表などに行く機会が、当初予定していたよりも少なかった。 来年度以降、学会発表の機会も増えると予想されるので、繰り越して使用することとする。また、モルモットや備品の購入もさらに必要な数が増えると予想されるので、物品費としても使用予定である。
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Research Products
(1 results)