2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of the new treatment option for facial nerve palsy using the instruction factor of stem cells.
Project/Area Number |
18K16873
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
杉山 元康 山形大学, 医学部, 医員 (60637255)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 顔面神経麻痺 / 再生医療 / IGF-1 / 動物モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
末梢性顔面神経麻痺は、Bell 麻痺、Hunt 症候群、外傷性などがその内訳を占める。現在 Bell 麻痺の 10%、Hunt 症候群の 30%、外傷性の 50%が治癒を得られず、後遺症に苦しむ患者も少なくない。新たな救済治療法の開発が望まれる中、顔面神経麻痺動物モデルを用いた基礎研究の報告が散見されるが、臨床病態に即したモデルの作製、正確な運動評価法の確立、有用な薬剤の探求といった課題が残されている。 既報のモデルの多くは側頭骨外顔面神経障害モデルであり、病態を十分に反映していないため、本研究では末梢性顔面神経麻痺の病態により近い側頭骨内顔面神経障害モデルの作製を試みた。このモデルを用い、坐骨神経再生で有用性が報告されている insulin-like growth factor 1 (IGF-1)や自己幹細胞誘導因子を投与し、顔面神経機能回復の過程を検討した。 モルモットの茎乳突孔部の骨を一部削開する新たな工夫を加え、側頭骨内顔面神経障害モデルを作製した。先行実験で、IGF-1 が最も顔面神経回復を促進する因子であったので、IGF-1 を用いて、研究を進めた。徐放基材を用いて、IGF-1 含有生理食塩水投与群と、生理食塩水のみ投与するコントロール群を各群 6 匹ずつ作製し、障害後 8 週まで評価をった。IGF-1 の治療効果は、閉眼の運動評価、筋電図による電気生理学的評価、免疫組織染色による組織学的評価の3項目を評価した。 本研究では、IGF-1群において、コントロール群と比べ有意な治癒率の改善と、線形混合モデルを用いた解析における閉眼率の経時的改善を認めた。また、ENoG 値の優位な回復を認めた。 今後は顔面神経麻痺に対する IGF-1 のヒトでの臨床応用を視野に、末梢性顔面神経麻痺の病態により近いと考えられる今回確立したモデルを用いて、基礎研究を進める予定である。
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Research Products
(5 results)