2018 Fiscal Year Research-status Report
スギ花粉症の発症を、感作未発症という段階とT細胞の機能から捉える
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18K16874
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
飯沼 智久 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教 (00748361)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アレルギー性鼻炎 / 花粉症 / T細胞 / 感作未発症 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はスギ花粉症感作未発症者の症状発症に、T細胞の機能が関わっている可能性を検討し、サイトカインの受容体の関与などを明らかにしてきた。しかし、T細胞の特徴の一端を明らかにしたにすぎず、未だ発症を予防しうるような因子は特定されていない。そこで両群の花粉飛散期のT細胞において、活性化された因子の探索を行った。 スギ花粉飛散期に発症者・感作未発症者を集め、採血を行った。末梢血単核球を分離後、スギ抗原刺激下で培養し、スギ特異的CD4T細胞を単離しRNAを抽出後、次世代シークエンサーを使用して発症者と感作未発症者のCD4T細胞の差異を探索した。 結果、感作未発症者ではスギ特異的T細胞の数が少なかったが、これは血清IgEの量には相関しなかった。発症者から採取したCD4T細胞は細胞分裂に関わる因子など全体的に活性化していたが、感作未発症者では抑制されている結果となった。患者2群のスギ特異的T細胞に対してRNA-seqを行い、クラスタリングを行うとヒートマップでは、感作未発症と発症者では遺伝子発現のパターンに一定の差があるように思われた。ボルケーノプロットでは、発症者に発現亢進する遺伝子を多く認めた。 GO解析を行うと有意差をもって免疫反応の活性化に関わる遺伝子群の関与を認めた。その免疫反応に関わるとして抽出された遺伝子に対してreal-time PCRを行った。有意差をもって発症者のスギ特異的CD4T細胞に発現亢進している遺伝子が分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点では発症の特徴となりうる因子の同定は完了し、その検証に入っているところである。おおむね遅延なく遂行できていると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は被検者数を増やし、同定した因子が発症に関与するかどうかの確認と、その機能の検証を行う予定である。
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Causes of Carryover |
本年にかかる予定であった次世代シークエンサーの料金を、依頼先に予想以上に値引いていただいた。 ただ、データにずれがあり、次年度にももう一度シークエンスをかける予定である。 そのため予算として使用する予定である。
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