2018 Fiscal Year Research-status Report
網羅的解析によるILC2活性化に伴う鼻粘膜炎症増悪因子の同定
Project/Area Number |
18K16882
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
森川 太洋 福井大学, 学術研究院医学系部門, 特別研究員 (70815985)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ILC2s / 鼻粘膜肥厚 / M2 macrophage |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、好酸球性副鼻腔炎における鼻茸形成、難治性を引き起こすメカニズムを解明することを目的としており、好酸球性副鼻腔炎の鼻茸に発現するILC2の効果に着目している。マウスモデルを用いて、ILC2が鼻粘膜炎症(鼻粘膜肥厚および好酸球浸潤、ステロイド抵抗性)に影響を及ぼすメカニズムを解明する。
①ILC2が鼻粘膜炎症を増悪する因子Xiを網羅的に同定するためMicroarrayを行う。鼻にILC2発現が優位に増加する条件を十分に確認した後、Microarrayを行う予定である。現在ILC2発現をフローサイトメトリーで再確認し、Microarrayにかけるsampleの準備を進めている。
②好酸球性副鼻腔炎において、鼻茸のalternative activated macrophage (M2 macrophage)が鼻茸形成に関与する可能性を示唆する報告がある。 今回、ILC2による鼻粘膜肥厚増悪へのM2 macrophageの関与を検討した。ILC2が鼻粘膜に誘導されるOVA+papain点鼻群(Th2 cell+ILC2誘導)では、PBS(コントロール)、OVA(Th2 cell誘導)と比較し、Arginase(Arg)1の発現が優位に増加していることが確認できた。また、WTマウスとST2R KOマウスを比較すると、ST2R KOマウスのOVA+papain点鼻群(Th2 cell+ILC2誘導)では優位にArginase(Arg)1の発現が抑制されることを確認した。つまり、papain刺激によりIL33/ST2 signalingを介して活性化したILC2が鼻粘膜炎症を増悪する過程で、Arginase(Arg)1が関与している可能性が示唆された。Arginase(Arg)1は、M2 macrophageを特徴づけるmRNAの一つであり、ILC2による鼻粘膜炎症増悪の過程でM2 macrophageが関与している可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
①ILC2が鼻粘膜炎症を増悪する因子Xiを網羅的に同定する実験に関しては、Microarrayを行うまでの過程に問題がないか慎重に再評価しており、少し遅れていると考えている。 ②ILC2による鼻粘膜肥厚増悪へのM2 macrophageの関与については、順調に進行していると考えている。 ③ILC2による鼻粘膜肥厚にどの細胞が関与しているかをin vitroで検討すること、④同定した鼻粘膜肥厚因子Xiが鼻粘膜肥厚に影響しているかを検討することに関しては、①のMicroarrayの解析結果を待ってからになるため、全体的に遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
ILC2が鼻粘膜炎症を増強する因子Xiの同定が、本研究の本幹となるため、Microarrayによる解析が、本研究推進にとって非常に重要になる。Microarrayで今後の方針が決まるため、引き続き慎重に作業を行っていく。因子Xiが同定されれば、研究実施計画通り実験を進めていく。 現在までの研究実績で、ILC2活性化による鼻粘膜炎症にM2 macrophageが関与している可能性が示唆された。その可能性を追及するため、Macrophageを欠損する実験系を作成する。クロドロン酸リボソームを腹腔内投与することでMacrophageを欠損させ、鼻粘膜炎症が抑制されるかを検討する。
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Causes of Carryover |
当該年度の経費に組み込んでいたMicroarrayが、研究の遅れによりまだ実施されていないため、次年度使用額が生じている。Microarrayが実施されれば、おおむね一致する金額である。
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