2018 Fiscal Year Research-status Report
免疫セマフォリンSEMA4D中和抗体を用いた好酸球性副鼻腔炎新規治療法の開発
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18K16886
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
津田 武 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (00778631)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Semaphorin / ECRS |
Outline of Annual Research Achievements |
好酸球性副鼻腔炎は好酸球浸潤の強い鼻茸を特徴とする疾患であり、厚生労働省の難病指定を受けている。治療法として手術およびステロイド内服があげられるが、易再発性や治療副作用の観点から病態解明および新たな治療法の確立が重要となる。今回神経ガイダンス分子として発見されたSemaphorinの1種であり、免疫と密接な関連を持つSemaphorin4D (SEMA4D)に着目し好酸球性副鼻腔炎において果たす病的意義を検討する。SEMA4DはT細胞の活性化に重要であることが報告されるとともに、好中球においては過剰活性化を防ぐブレーキ因子として働くことが報告されている。また通常細胞膜上に存在するが刺激により切断され種々の炎症を惹起する作用も持つ。これらの知見に基づき、SEMA4Dを中和することによって好酸球性副鼻腔炎を治療することが可能かの評価も併せて行う。 当該年度において培養していたヒト鼻腔上皮細胞に対してrecombinant SEMA4D蛋白を用いて刺激を行い炎症性サイトカイン産生能について網羅的に検討を行った。その結果SEMA4D蛋白刺激によって濃度依存的にIL-6、IL-8、CXCL10といった炎症性サイトカイン産生が時間依存的に誘導された。またSEMA4D KOマウスを用いてECRSモデルにおける炎症レベルの評価を病理学的に行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
鼻腔上皮細胞の培養については順調に経過しており、刺激による有意な反応を認めた。またIn vivoの実験系においてもECRSを安定して発症させられる系を既報を元に確立することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこれらの反応についてPlexinB1 shRNA virus particleを用いたノックダウン実験を行いサイトカイン産生がキャンセルされるかについて検討を行いSEMA4D-plexinB1 interaction特異的にこれらの反応が起こっているかどうかを評価する。加えてIn vivoの実験系では評価項目に鼻腔洗浄液の炎症性サイトカイン産生を追加しより定量的データを評価していく予定である。
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Causes of Carryover |
当初の実験計画通りに実験が経過した点に加え、次年度において網羅的解析を行う方針を決定したため次年度使用額が生じた。すなわち使用している鼻腔上皮細胞に対してrecombinant SEMA4Dを用いた刺激を行い、遺伝子変動についてRNA-sequenceを用いて網羅的に評価を行う方向で検討している。
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