2019 Fiscal Year Research-status Report
HPV陽性中咽頭癌に対する個別化治療に向けたct-DNAモニタリングの意義
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18K16888
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 秀憲 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (00804379)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | cfDNA / Liquid biopsy / HPV / 中咽頭癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
HPV関連頭頸部扁平上皮癌の症例について引き続き、HPVctDNAの解析を行っている。治療前のHPVctDNAは病期の進行とともに上昇しており、リンパ節転移を伴わない原発巣に限局するような微少な病変においても検出可能であった。HPV非関連癌においてはHPVctDNAは検出されていない。また、放射線治療後の奏功評価において、現在の標準的な評価方法であるPET-CTと比較した際、より正確に短期予後を予測できていた。一部では、画像で検出されるよりも早期にctDNAは再発を予測していた。放射線治療中の経時的な変化を観察すると、放射線治療後に遺残再発をきたした症例は治療後期にもctDNAが検出されたのに対し、遺残再発を認めない症例では後期には検出されなかった。さらにこれらの中には治療の早期にctDNAが消失する一群があることも明らかになった。一方で、症例数を蓄積することで少なからず、再発時などにctDNAが検出されない症例も経験した。これらはおおむね10mm程度の小病変であり病変の大きさがその大きな要因と思われるが、一方でそのような微少な病変も検出できる症例も存在している。これらには1細胞当たりのHPVコピー数が関連しているものと推測している。この偽陰性例の要因を解析し克服することが今後の課題であり、これを克服することでHPVctDNAを用いた病勢のモニタリングを実臨床で応用できるものと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
症例数も順調に増えており、デジタルPCRを用いて測定するHPVctDNAを用いたモニタリングが可能であることは明らかになってきた。さらに症例数を蓄積し、検証する。また、実臨床への応用を目的とし、少数ではあるが偽陰性例の解析にも重点を置く必要があると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き症例を蓄積するとともに、HPVctDNAが偽陰性となる症例の解析を検討している。1細胞あたりのHPVコピー数とctDNAコピー数との関連を調べるため、治療前の腫瘍生検サンプルを用いてリアルタイムPCRにより1細胞あたりのコピー数を算出する。さらに1細胞あたりのコピー数に影響を与える因子としてウイルスのヒトゲノムへの組み込みパターンも想定されるため、生検組織のHPV in situ hybridizationによる検証も予定する。
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Causes of Carryover |
中間解析を行うために、得られた血漿を凍結保存し、一部の症例は解析が未実施である。そのため、解析費用が当初の予定より抑えられた。次年度にこれらの症例の解析を行う。
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Research Products
(2 results)