2019 Fiscal Year Research-status Report
3Dスキャナーを用いた顔面神経麻痺後の顔面拘縮の評価方法と治療方法の開発
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18K16892
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
東 貴弘 徳島大学, 病院, 講師 (90584144)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 顔面拘縮 / 治療効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度の研究目標は顔面拘縮が発症した患者を対象に、ボツリヌス毒素・触覚フィードバック併用療法の効果を証明することであった。そのために、患者をボツリヌス毒素単独治療群とボツリヌス毒素・触覚フィードバック併用療法群にわけ、治療前後の顔面拘縮の程度を比較する計画であった。評価方法は昨年度開発した3Dスキャナを用いて作成した顔面の3Dモデルによる評価法を使用する予定であった。 まず最初に顔面拘縮を発症した8例を対象にボツリヌス毒素を投与すると、顔面拘縮は有意に改善した。このことから顔面拘縮に対してボツリヌス毒素が有効であることが示唆された。この8例中、1年近く経過を追えた症例が5例であった。その中でボツリヌス毒素単独群が3例、ボツリヌス毒素・ミラーバイオフィードバック併用療法群が2例であった。いずれも投与後1か月の時点で有意に顔面拘縮が改善したが、3か月頃になるとやや悪化していた。ボツリヌス毒素の効果は一時的で約3-4か月程度といわれている。そのためボツリヌス毒素単独群は3か月以降次第に悪化傾向であったが、ボツリヌス毒素・触覚フィードバック併用療法群の顔面拘縮の程度は注射後1か月の時点と比較すると3か月頃にやや悪化したものの、その後は悪化せず維持していた。このことからボツリヌス毒素・触覚フィードバック療法は顔面拘縮に対して長期的な効果が得られる可能性が示唆された。この内容は令和元年度の日本顔面神経学会学術講演会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
顔面拘縮を発症し、ボツリヌス毒素・触覚フィードバック併用療法を行っている症例が統計学的検討が行えるだけの数が集まっていない。当院の顔面神経外来では、顔面拘縮などの後遺症を予防するためのリハビリテーションを積極的に行っているために治療対象者が今年度は少なかった。発症した顔面拘縮などの後遺症治療のため全国から紹介されてくる症例を集めて研究を継続する。当科の取り組みを広く知ってもらうために毎年日本顔面神経学会で発表を継続している。
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Strategy for Future Research Activity |
顔面拘縮の評価方法とボツリヌス毒素単独群の治療効果は統計学的に証明することができた。この結果を論文発表する。また、ボツリヌス毒素・触覚フィードバック併用療法の症例数が十分でなく、統計学的検討が行えていない。そこで、令和二年度も引き続き新規症例を集めボツリヌス毒素・触覚フィードバック併用療法が有効であることを証明するための研究を継続するとともに、初期の症例の長期効果を検討する。
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Causes of Carryover |
3Dモデルを解析するソフトである3DReshaperと解析用パソコンを購入予定としていた。しかし、令和元年度の新規患者数が予定より増加しなかったため、現在保有しているパソコンと解析ソフトを継続して使用した。しかし、現在対象者数増加に伴うデータの増加により解析に時間がかかるようになっている。解析の精度の低下や研究の進行が遅れる可能性があるために、新バージョンの解析ソフト3DReshaperとより高性能な3Dモデル解析専用のパソコンを購入予定である。
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Research Products
(1 results)