2022 Fiscal Year Research-status Report
癌生存シグナルを標的とした外耳道癌に対する新規保存的治療法の開発
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18K16908
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
穐山 直太郎 東邦大学, 医学部, 講師 (90554238)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 癌生存シグナル / 外耳道扁平上皮癌 / EGF / PDK1 / エレクトロポレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
Epidermal growth factor receptor (EGFR)は外耳道扁平上皮癌の増大や浸潤に強く関わることが示唆されている。EGFRのエフェクター分子の一つである、phosphoinositide-dependent protein kinase-1 (PDPK1)は頭頸部扁平上皮癌など多くの癌で抗アポトーシス作用による癌生存シグナルへの関与が示唆されている。 外耳道EGF過剰発現マウスモデルを用いてEGFR/PDPK1シグナル阻害効果を検討した。EGF発現ベクター(pCMV-hEGF-Flag)をマウスの外耳道にエレクトロポレーション法により導入した。結果、マウス外耳道に隆起性病を認め、免疫組織学的解析ではFlag染色により、マウス外耳道へのベクター導入が確認され、抗EGF抗体を用いた解析ではEGFの過剰発現を認めた。さらに、EGFR、PDPK1の発現上昇を認め、 細胞殖性マーカーKi67陽性細胞率の上昇を認めた。次に、本モデルを用い、PDK1阻害剤を腹腔内に投与し、EGFR/PDPK1シグナルの阻害実験を行った。結果、PDPK1阻害剤投与群でEGF、EGFR、PDPK1、Ki67陽性率がすべて低下した。また、培養細胞を用いてPDPK1阻害剤負荷実験を行ったところ、PDPK1の発現阻害と細胞遊走能の低下が確認された。また、動物実験モデルでは、cleaved caspase-3陽性率およびterminal deoxy(d)-UTP nick end labeling (TUNEL)陽性率が上昇し、アポトーシス誘導が示唆された。 以上の結果から外耳道扁平上皮癌においてEGFR/PDPK1シグナルが重要な役割を果たしていること、EGFR/PDPK1シグナル阻害によりアポトーシスが誘導され抗腫瘍効果を発揮する可能性があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
培養細胞を用いたPDPK1阻害実験を実施し、動物実験モデルの結果の整合性が示された。
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Strategy for Future Research Activity |
最終的な成果をまとめ、2023年10月開催予定の第33回日本耳科学会総会・学術講演会で発表予定である。
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Causes of Carryover |
予定していたタンパク阻害実験について一部完遂できず余剰を生じた。次年度に実験の完遂と最終成果のまとめを行う予定である。
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