2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K16911
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
栗田 卓 久留米大学, 医学部, 助教 (20569355)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 喉頭乳頭腫 / 腫瘍微小環境 / 細胞障害性T細胞 / 免疫チェックポイント関連分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
喉頭乳頭腫症例のホルマリン固定パラフィン包埋標本を用い、細胞障害性T細胞の細胞表面マーカーであるCD8、免疫チェックポイント分子関連分子であるProgrammed death-1(PD-1)とそのligandであるPD-L1の免疫組織化学染色を行った。染色した標本における陽性細胞数を上皮内すなわち腫瘍内と、上皮下すなわち腫瘍直下にわけてそれぞれ計測した後、症例群ごとの解析を行った。非再発症例と再発症例での比較では、CD8陽性細胞数は上皮内と上皮下のいずれにおいても単発群で有意に多かった。PD-1陽性細胞は上皮内における細胞数に差は見られず、上皮下において単発群で有意に多かった。 また、当科で再発例に対して過去に行ったシドフォビル局所注入療法症例における、治療前後での比較検討も行った。上皮内CD8陽性細胞数はシドフォビル局注療法後に増加する傾向にあり、治療前後での有意差を認めた。上皮下CD8陽性細胞数と上皮内PD-1陽性細胞数は増加した症例が多く、上皮下PD-1陽性細胞数は減少する症例が多かったが、一定の傾向がみられなかった。HPV関連腫瘍に対するシドフォビルの投与は腫瘍細胞自体のアポトーシスを誘導することが報告されていることから、今回の染色の検討結果からアポトーシスに陥った腫瘍細胞から腫瘍関連抗原が放出され、それを抗原認識細胞が貪食、抗原提示し、最終的に細胞障害性T細胞を誘導するに至ったものと推察される。PD-L1の結果に関しては現在解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
免疫組織化学染色において、使用する抗体のクローンによって染色形態が変わるものがあり、その解釈にやや難渋するものがあった。 また日常の臨床業務等に割く必要のある時間が当初よりも増えたことも影響している。
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Strategy for Future Research Activity |
PD-L1の染色結果をもとに、乳頭腫細胞において免疫からの逃避機構が働いているのかの考察を行う。また同様に制御性T細胞と乳頭腫の発生や再発に関しての検討を行うべく、FoxP3の免疫組織化学染色を行うことを予定している。
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Causes of Carryover |
他研究で用いていた抗体の残薬を使用することで免疫組織化学を行うことが出来たため、次年度使用額が生じた。 今後は本研究において現在までの対象とは異なる分子に対する免疫組織化学染色を行う予定であり、それに対して当該助成金を使用する計画する。
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